2016年11月3日木曜日

井手英策 いかにして「分断社会」を終わらせるか (月刊日本) ; 日本人が格差問題に無関心な理由 ・・・自分は誰からの支援も受けずに必死になって働き、何とか「中の下」で踏ん張っているのに、国から支援を受けている貧困層は一体なんだということで、貧困層に対して敵意を向けてしまう・・・


 (略)

日本人が格差問題に無関心な理由

 (略)

 その一方で、日本人の中には依然として根強い中流意識があります。明らかに生活が苦しくなっているのに、なぜ自分たちを中流だと思うのか、その意識のズレはどこから生じるのかを考える必要があります。

 この問題を考える上で参考になる調査結果があります。「あなたの生活の程度は『中の上』か『中の中』か『中の下』か」という質問に対して、日本は他の先進国と比べて「中の下」と答える割合が最も高いことがわかっています。ここに見られるのは、自分はギリギリのところで踏ん張っているという意識です。これこそ日本人が格差問題に対して冷淡な理由だと思います。つまり、自分は誰からの支援も受けずに必死になって働き、何とか「中の下」で踏ん張っているのに、国から支援を受けている貧困層は一体なんだということで、貧困層に対して敵意を向けてしまうのです。……

0 件のコメント: