2013年10月20日日曜日

フランス 少数民族ロマの女子中学生の送還 抗議デモ拡大



東京新聞
移民送還 仏デモ拡大 政府批判、全土に    
2013年10月19日 朝刊

【パリ=野村悦芳】フランスで今月、少数民族ロマの女子中学生が、同級生の前で警察に連行され、その後、国外退去を強いられた。オランド大統領の左派政権に対し人権軽視の批判が起き、パリなどでは処分に抗議する高校生らが十八日、デモを繰り広げた。一方で、反移民の極右政党、国民戦線が支持を拡大しており、フランスが抱える移民問題の難しさが浮き彫りになっている。

パリ中心部では約二十校の生徒が、労組メンバーらとともに、政府批判を連呼した。高校生の大規模デモは十七日からフランス全土に広がっている。

退去させられたのは東部ルビエに住んでいたレオナルダ・ディブラニさん(15)の一家。仏メディアによると、イタリアで生まれ、五年以上フランスに住んだレオナルダさんは九日、同級生らとバスに乗っていた際、警察に降車を求められ、連れて行かれた。その後、一足先に出身地のコソボに強制送還されていた父親の元に母親や兄弟とともに送られた。

これに対し、ペイヨン国民教育相は「学校は聖域であるべきだ」と不快感を表明し、与党社会党のデジール第一書記らも「連れ戻すべきだ」と主張。政府は手続きなどに問題がないか調査を強いられた。

仏国内に二万人以上いるとされるロマは、不法占拠の土地に集団で住むケースが多い。バルス内相は最近も厳しい態度で臨む方針を示し、左派から批判を受けたが、政治家の好感度を問う世論調査では一位となった。

南部ブリニョルで十四日にあった県議会補欠選の決選投票では、国民戦線の候補が、社会党にも推された保守系、国民運動連合の候補を破り、左右二大政党に衝撃をもたらした。さらに、来年の欧州議会選に向けた世論調査では、国民戦線が首位に立っている。

10%を超える失業率や治安問題に国民の関心が集まる中、移民に厳しい目が向けられていることの表れとみられ、人権重視を掲げるオランド政権は今後も対応に苦慮しそうだ。




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