2013年10月22日火曜日

皇室:両陛下、水俣初訪問へ 患者と異例の懇談

毎日JP
皇室:両陛下、水俣初訪問へ 患者と異例の懇談
毎日新聞 2013年10月22日 東京朝刊

◇「お話ししたら胸のつかえ取れるかも」

天皇、皇后両陛下は第33回全国豊かな海づくり大会出席のため、26日から28日までの日程で熊本県を訪れる。両陛下は水俣市に初めて足を運び、市立水俣病資料館語り部の会の緒方正実会長(55)ら患者の話を聞く。両陛下が公の場で水俣病患者と懇談するのは過去に例がないという。緒方さんは「半世紀以上にわたる水俣病の被害の実態を少しでもお話しできたら」と胸の内を語る。【真鍋光之】

緒方さんは水俣市の北側に位置する同県芦北町の網元の家に生まれた。1歳の時に祖父が急性劇症型水俣病で死去。緒方さん自身も「幼い頃から体のけいれん、頭痛などがあった。とくによだれがひどく、首に巻いたタオルがビショビショになった」という。二つ下の妹は母の胎内で水銀に侵された胎児性患者とされ、祖母と母も患者に認定された。父は認定申請準備中に38歳で亡くなった。

緒方さんは1997年から4度にわたって患者認定を県に申請したがいずれも棄却処分となった。その都度、行政不服審査を申し立て2007年に認定された。「苦しんでいるのになぜ認定されないのか。絶望感、孤独感で行政だけでなく、周りの人たちが全て敵に見えた」と振り返る。今は語り部の会の会長として同館を拠点として、全国に講演に出向き水俣病患者の実情を話し続ける。

宮内庁によると、両陛下は27日に水俣病慰霊の碑に供花し、緒方さんら十数人の患者と懇談する。慰霊の碑は汚染された汚泥を閉じ込めて造成された水俣湾の埋め立て地「エコパーク水俣」にある。同庁関係者は「両陛下は水俣病患者の方々に対して思いを寄せられている。そのお気持ちが懇談につながった」と明かす。

緒方さんは「私たち水俣病患者は家族を含め長い間苦しんできた。両陛下にお会いし、これまでのことをお話しする時、胸につかえていた部分が取り除かれるかもしれない。それは水俣が大きく変わっていく瞬間でもあると思う」と語った。




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