2015年2月24日火曜日

社説 : 西川農相辞任 政権自体の信用失墜だ (毎日新聞) : 首相は「任命責任は私にある。国民におわびしたい」と語った。ならば西川氏の問題を辞任で終わらせず、まずは国会できちんとした説明に応じさせるべきだ。 ← 「責任」あると言うなら、きちんと責任とれ!

社説 : 西川農相辞任 政権自体の信用失墜だ
毎日新聞 2015年02月24日 02時33分

 政権の重い信用失墜である。砂糖メーカー団体系の企業から献金を受領するなどの疑惑が発覚し、国会で追及されていた西川公也農相が辞任した。

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大詰めを迎える中、焦点である農業部門の取りまとめ役が疑惑を招き、交代に追い込まれた。政治とカネをめぐる安倍内閣や自民党の認識が改めて問われよう。

 「いくら説明をしてもわからない人はわからない」。自ら疑惑を招いての辞任にもかかわらず、まるで問題視する方が悪いと言わんばかりに開き直って記者団に語る西川氏の態度に驚いてしまった。

 西川氏の問題が重大なのは、TPP交渉の取りまとめ役としての適格性に疑問符がついたことだ。

 西川氏が代表を務める政党支部は2013年7月、精糖工業会館から100万円の献金を受けた。大手砂糖メーカーなどが加盟する団体、精糖工業会とは別組織とはいえ、トップが同じで役員の多くも重なる。

 当時、西川氏は自民党TPP対策委員長としてマレーシアで同月開かれた交渉会合に現地で対応した。砂糖は日本が関税撤廃の例外とするよう求める重要5項目のひとつだ。

 それだけに、会合6日前のタイミングで献金を受領したことは極めて軽率だ。精糖工業会は国からの補助金の交付が決まっていたため、政治献金ができなかった。精糖工業会館による献金に脱法行為ではないかと指摘が出たのも当然だ。

 西川氏は補助金交付企業から別の300万円の献金受領も問題化していた。精糖工業会館からの献金を「違法性はない」としたうえで返金したが、問われたのは政治家としての倫理観だ。疑念を持たれたまま閣僚としてTPP交渉に関与する資格などないだろう。

 政権の対応の鈍さも指摘せねばなるまい。首相は国会で西川氏の問題を追及する民主党議員に逆にヤジを飛ばして応酬するなど、事態を進んで解明しようという姿勢はほとんど見えなかった。どこまで問題の深刻さを認識していたのか。

 第2次内閣の発足以来、閣僚の辞任は小渕優子前経済産業相、松島みどり前法相に次いで3人目だ。第3次内閣発足にあたり、TPPと農業改革という重責を担う農相に西川氏を再任した人事が問われよう。

 小渕氏らの問題で根深さをみせた政治とカネの問題だが、衆院選を境に政党の関心は低下したと言わざるを得ない。首相は「任命責任は私にある。国民におわびしたい」と語った。ならば西川氏の問題を辞任で終わらせず、まずは国会できちんとした説明に応じさせるべきだ。

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