昭和16年（1941）9月3日 「新聞紙上の雑説殊に陸軍情報局とやらの暴論の如き馬鹿々々しくて讀むに堪えず。」（永井荷風「断腸亭日乗」）

昭和16年（1941）9月1日
九月初一　舊七月十日　晴又陰。寫真フイルム品切。煙草もこの二三日品切なり。
 町の噂に近き中民家にて使用する鐡銅器を召上げらるゝとて、鐡瓶釜の如きものは今の中古道具屋に賣るもの尠からぬ由なり。
刻烟草のむ烟管も隠さねばならぬ世とはなれり。

〔欄外朱書〕市中ノタキシ車數半分位ニナルト云
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9月2日
九月初二。晴れて風すゞし。夜淺草漫歩。オペラ館踊子と森永に飯す。
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9月3日
九月初三。晴。日米開戦の噂しきりなり。
新聞紙上の雑説殊に陸軍情報局とやらの暴論の如き馬鹿々々しくて讀むに堪えず。
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9月4日
九月初四。晴後に陰。山百合の根を裏庭垣際に埋む。夜微雨しばらくにして歇む。
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「★永井荷風インデックス」　をご参照ください。
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