2012年5月1日火曜日

世界版放射能拡散予測の未公表分が、一年ぶりに、深夜にそっと公表された

東京 北の丸公園 2012-04-20
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フクシマに事故直後、放射能の拡散予測が公表されていないために、わざわざ放射能が拡散する方向へ「避難」した人々がいたのは、悔やんでも悔やみきれない残念な事態であった。
この一軒の責任の所在はうやむやにしてはならない。

早くは「朝日新聞」の「プロメテウスの罠」がこの一件を告発し、また政府事故調(畑村)も中間報告書でこの件を指摘している。
但し、畑村委員会は、責任の所在や範囲への追求力が弱いのでやや問題がある。

これは、所謂「SPEEDI」と名づけられた予測システムのことだが、この予測システムには世界規模での拡散を予測するバージョン(WSPEEDI)もあるとのことであるが、この世界版SPEEDIにもまた未公表情報があったらしい。

原子力安全機構、文部科学省、原子力安全委員会の責任のなすりつけあいの後、4月27日深夜、安全委員会はこっそり約1年前の未公表分をHPに公開したそうだ。

東京新聞TOKYOWebの記事

世界版拡散予測 未公表さらに1500枚 
2012年4月28日 夕刊

 東京電力福島第一原発事故の際、広範囲の放射性物質拡散を予測する「世界版(W)SPEEDI(スピーディ)」の試算結果に公表漏れがあった問題で、さらに千五百枚近い拡散予測図が未公表になっていたことが分かった。
WSPEEDIを運用する日本原子力研究開発機構(原子力機構)から、原子力安全委員会と文部科学省に同時に送られていたが、両者の間で十分な連携が取られず、宙に浮いた形になっていた。

 安全委は二十七日深夜、ホームページ(HP)に未公表分をすべて掲載した

 公表されたのは、昨年三月十六日から四月八日にかけて福島第一から毎時一~五ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した放射性物質拡散の予測図などで計千四百六十四枚。

 安全委は「事故でのWSPEEDIの活用は文科省の指示で始まった」とし、予測図は本来は文科省が公表すべきものだと主張してきた。
今回の公表について「事故時の放射性物質の総放出量推定で予測図の一部を活用した経緯もあり、この推定の説明性をさらに高めるための資料として公表に踏み切った」としている。

 原子力機構は、事故後の昨年三月十四日からWSPEEDIの運用を開始。当初は文科省の依頼を受けて試算を続けていたが、同省は二日後の十六日、省庁間の仕分けで、放射線モニタリングの評価は安全委の担当になったとして、試算結果を安全委に送るよう原子力機構に指示した。
 これを受けて、原子力機構は十六日以降、試算した予測図を安全委に送ったが、文科省にも送り続けた。
 安全委は文科省から一方的に予測図が送られ引き継ぎが不十分だったとも主張。
経緯を示すため予測図とともに同省から安全委と原子力機構に送られた電子メールも公表した

 WSPEEDIの予測図などは、国内版SPEEDIと異なり、政府としてすべて公表することは決めていなかった。
ただ、文科省は全面公開したSPEEDIに準じる形で昨年五月、自ら原子力機構に試算を依頼した分を公表していた。

 大量の予測図が未公表になっていたことについて、文科省の担当者は「われわれが試算を依頼したものではなく、省としての公表対象には当たらない」としている。

<世界版SPEEDI(WSPEEDI)> 
国内だけでなく世界の原発事故などによって放出される放射性物質の拡散状況を気象データなどを基に計算して予測するシステム。
旧ソ連チェルノブイリ原発事故を受け、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)が1987年に開発に着手し、2009年に完成した。
100キロ~地球の半分程度まで広域に試算できる。SPEEDIの試算範囲は最大100キロ。


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