2012年7月21日土曜日

安住財務相の盾に使われた増税賛成「朝日」社説。「天声人語」は増税目的を疑問視(大幅な公共投資)。

消費税増税の審議が参議院で行われているが、新聞だけではなかなか個別の議論が分かりにくい。
ただ、自民党が消費税増税分を「国土強靭化」(いわゆる公共投資=土建業活性化=集票基盤回復)の財源として狙っていたのは、彼らの常套手口なので察しがついていた。
事実、新聞(我家は「朝日新聞」)のこのところの報道は、この辺りに絞られているようにも見える。

それで、7月21日の「天声人語」である(コチラ)。(HPは日替わりなので、下記に↓)
これは、二塁打くらいのヒットだと思う。
<転載>
(略)民主党が麗々しく掲げた政権交代の「効能書き」は、軒並み崩れて見る影もない。(略)

消費増税は「財政再建」と「社会保障の充実」のため、と聞かされてきた。その二枚看板に「公共事業」が割り込みつつある。増税で3党合意をした自民党など、「10年で200兆円」だと喧伝(けんでん)し、大借金どこ吹く風で景気がいい

▼(略)民主党の「コンクリートから人へ」はどこかに消えた。防災、減災の美名に隠れるような3党そろっての先祖返りに、増税の目的はゆらりと揺れている

「庶民増税を打ち出の小槌(こづち)にした新たな無駄づかい」という共産党、市田忠義氏の指摘はもっともだ。少子高齢化と天文学的財政赤字に向き合い、持続可能な国をつくるという大看板を、ゆるがせにしては困る(略)
<転載終り>

共産党の市田議員の指摘はもっともだ、というわけだ。
あと一歩で消費税増税反対に届きそうだ。

しかし、ちょっと待てよとも思う。
安住財務相は、自らの公約破りの言い訳に、増税賛成を主張する新聞社の社説を援用してたよね(コチラ)。
つまり、「朝日」を含む増税賛成の社説は、安住財務相の援護をしたということだ。

でも、「天声」はマニフェスト破りの落胆からから話が始まり、紙一重で増税反対に届きそうな状況。

これは・・・、どういうこと?
「朝日」は、増税は賛成。但し、三党合意は反対、ということなの?
(これは理屈に合わないしね)
それとも・・・???
わからーん。

どないなってんねん、「朝日」。

ついさっき、安住財務相の質問者、中村哲治議員のツイターに委員会の議事録(コチラ)があったので、該当部分を下記に転載する。

<転載>
○中村哲治君
(略)
本当に、今、この二年間なり三年間、財政危機なんですかということを私はずっと申し上げてきているわけです。
例えば、同じようなことというのは、国際金融をやっている論者から、私、直接お話を聞いています。「リスクマネーの威力」という本を書かれている草野豊己さん、それからコラムニストのぐっちーさんこと山口正洋さん、そして「新・マネー敗戦」を書かれている岩本沙弓さん、こういった現場で為替のディールをやっていた方々、現場で国際金融の取引をやっていた方々が、今消費税を上げる必要なんか全然ないと、そういうことをおっしゃっているわけですよ、現場の方々がおっしゃっているわけですよ。そのことについてなぜ軽んじられるのか。そして、そういった人たちが言われている、国際収支、特に対外純資産をこれだけ積み上げている日本が取立てに遭うはずがな。当たり前ですよね。金というのは、貸している側が借りている側に対して取り立てるわけですから、貸している国である日本がほかの国から取立てに遭うはずがない。そういうふうな指摘があるにもかかわらず、なぜ財務省はその路線を外さないのか、そういうふうな主張を続けるのかというのが、私たちが一番問題だと思っていたことなんですよ。(略)


○国務大臣(安住淳君)
(略)

ただ、中村さんね、為替ディーラーの今言った方々はそういう御主張をしていると思います。ゃ、逆に日本の主要新聞社の社説を含めた論評はなぜ今消費税を上げろとみんな言うのでしょうか
やっぱりそれは、そういう世論というのはまた大きいんじゃないんでしょうか。私は、それはマスコミの出身ですけれども、現場の記者には様々あるにしても、やっぱり論説含めて、ここは新聞社だって、これは商売考えたら反対でやった方が多分売れるかもしれないのに、しっかりそこは消費税を上げてやっぱり三党でやるべきだという社説があるわけです。それは財務省支配だという意見もあるかもしれませんが、それは様々な見方があって、そこはなかなか中村さん、一方が絶対正しいということは私はないというふうに思っているということです。


○中村哲治君
主要マスコミがなぜそう考えているのかということをおっしゃいましたけれども、私、主要マスコミの論説を見て、きちっとこのような点について認識をして反論されている論説を見たことありませんよ。
だから、結局、原発と一緒だと思うんですよ。私たちは、経済産業省から原発は安全だと信じ込まされてきました。原発安全神話がありました。私は、この財務省のわな財務省の財政危機神話があると言っているんです。今すぐでもなくていいんですよ、経済が回復してから、経済状況に応じて増税をすればいい。そういう当たり前の、世界で当たり前の経済学と言われていることをなぜ日本でやらないのかということを素直に問うているわけです。マスコミの主要論説はこの点に関して、正直、何も答えてないですよ、真正面から


○国務大臣(安住淳君)
私は、名立たる新聞社や何かが答えていないとは思っておりません。てのことを包含した上で会社としての社説を書いておられて、それは思想的なことで、例えば、具体名を出すとあれですけれども、朝日さんだって読売さんだって考え方は違うにしたって、このことに関しては一致をしているわけです。
(略)
<転載終り>


中村議員が切り込むと、安住財務相は新聞の社説を盾にして防戦。
そんな格好だ。

国会で、ここまで大きく取り上げられているのだから、
「朝日」は、
①安住財務相の社説を盾に使ったその援用方法が正しいのかどうかの見解
②更に切り込む中村議員への反論(中村議員は社説を批判している)
③社説(増税賛成)と「天声」(増税目的を疑問視)の関連についての説明
をするべきだと思う。

増税目的を疑問視しての増税賛成はない。
理屈に合わない、と思う。
*
*
【関連記事】
消費増税(大衆増税)に群がるシロアリ「国土強靭化」

消費増税が生む「放漫財政」(日経ビジネス7/30)



0 件のコメント:

コメントを投稿