2012年7月16日月曜日

「オスプレイ 延期でなく配備中止を」(琉球新報社説) 前原氏の発想は、住民の安全よりも日米安保への配慮を優先するもの

琉球新報社説 
オスプレイ 延期でなく配備中止を
2012年7月16日            
国民の声に対する恐るべき鈍感ぶりを発揮してきた政権にも、多少の感度はあると言うべきか。民主党の前原誠司政調会長が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場への配備計画について日米両政府に再考を求めた。
ただ前原氏は「一呼吸置くことが大事だ」と述べており、単なる配備延期が念頭にあるようだ。しかしオスプレイは構造的欠陥の疑いが濃く、時期をずらせば済む問題ではない。政府は配備中止を求めるべきだ。
前原氏はルース駐日米大使に「事故が立て続けに起こっている。万が一のことがあれば、日米安保そのものの土台が大きく揺らぐ」と、配備計画の見直しを求めた。住民の生命への心配でなく日米安保への影響を理由に挙げる点が解せないが、ともあれ米側の計画に異議を唱えた点は評価したい。
まずは思考停止から脱しよう。オスプレイはそもそも配備の必要があるかを吟味すべきだ。
米海兵隊の将校がこの機種の軍への配備について「最良の選択ではない」と論文で指摘している。
玄葉光一郎外相は「(従来機種と比べ)行動半径は4倍、抑止力が高まる」と、あたかもオスプレイが直接、中国や台湾に飛行するように説明するが、当の米軍自身、そんな想定はしていないことが、この論文で分かる。
論文は、遠距離飛行に必要な除氷装置の不具合で緊急着陸した例を挙げ、「オスプレイは危険を避けるため長い航続力は活用せず、強襲揚陸艦で運ばれている」と述べる。実際に艦船で輸送している事実が、論文の正しさを雄弁に示している。抑止力などという空論とは無縁の配備だということだ。
国防分析研究所や米軍内部の論文でも運用中止を提起されたのに、抑止力とも無関係なのに、なお配備しようとする理由は何か生産で利益を得る軍産複合体の利益を守るため、と疑うのが自然だろう。
利益を得る複合体の論理で計画が進み、周囲の官僚も政治家も凍り付いたように思考停止したまま、何ら実際的な検証もなされずに配備が進む。原子力ムラと原発再稼働をめぐる構図とうり二つである。
森本敏防衛相も配備後に事故を起こした場合は「日米同盟に想像できなかったような大きな亀裂が入る」と述べた。それが分かっているなら、直ちに配備中止を提起すべきだ。
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野田首相「(オスプレイ)配備は米政府の方針・・・日本からどうこう言う話ではない」。配備受入れを明言
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