2013年1月11日金曜日

慰安婦問題で機先を制され、訪米日程を作りきれない安倍政権が、沖縄(辺野古埋め立て)を生贄に米国に恭順の意を示す

沖縄タイムス
政府、来月にも辺野古埋め立て申請
2013年1月11日 09時41分
(6時間28分前に更新)

 政府が、2月で調整する安倍晋三首相の米国訪問に先立ち、同月中にも米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた公有水面埋め立て承認を仲井真弘多知事に申請する方向で検討していることが10日、分かった。政府関係者が明らかにした。首相は普天間問題の停滞を民主党政権による外交失政と批判しており、移設手続きを進めることで問題解決への取り組み姿勢をオバマ米政権にアピールしたい考え。

 ただ、仲井真知事は県外移設の姿勢を崩しておらず、稲嶺進名護市長も受け入れに反対している。衆院選で県外を主張する4人を当選させた自民党県連と辺野古を堅持する同党本部との「ねじれ」の解消に向けた協議はスタートもしていない。

 さらに、普天間への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備や米兵による事件・事故で日米両政府への批判が高まる中、辺野古移設の理解を得られないまま申請に踏み切れば、さらに反発を招くのは必至。普天間問題がよりこじれ、沖縄と両政府の溝が決定的になる可能性もある。

 政府側は首相に先立ち、岸田文雄外相が今月18日から訪米しクリントン国務長官と会談する。首相は岸田氏の帰国後、米側の意向を踏まえ申請時期を最終判断する方針だ。

 仮に申請された後は、公有水面埋立法に基づき、埋め立て許可権限を持つ仲井真知事が埋め立ての可否を判断する。仲井真知事は申請から1年以内をめどに、事業計画、環境影響評価(アセスメント)をチェック・評価し承認するかどうかの結論を出す意向で、地元の名護市長の意見も参考とする考えも示している。

 一方で、政府側は沖縄振興策の充実などで地元の理解を得たい考え。官邸主導で普天間移設を推進するため、沖縄側との窓口役の責任者を菅義偉官房長官とする方針を決めた。

 防衛省は昨年12月、辺野古移設に向けたアセスメントの補正評価書を県に提出し、同月27日から公告・縦覧に入ったことでアセス手続きは事実上終了。政府による埋め立て申請時期が焦点となっている。

副知事「あり得ない」
 与世田兼稔副知事の話 県としては基本的に普天間飛行場の移設は県外の方が早いし、望ましいと考えている。県外移設を訴えて当選した自民党国会議員や自民党県連ときちんと調整するという手順を踏まないまま、政府が米国へのお土産という形で、埋め立てを申請することはあり得ない。



沖縄タイムス
辺野古埋め立て:名護市長「神経疑う」
2013年1月11日 09時42分
(6時間30分前に更新)

 【北部】米軍普天間飛行場の移設に向け、政府が2月にも名護市辺野古の公有水面埋め立て申請を検討していることについて、移設に反対する稲嶺進名護市長は「環境影響評価の補正も知事意見に十分応えておらず、とても前に進む話ではない。オスプレイの強行配備や米兵の事件・事故が相次ぎ、県民の反発が強まっている中で神経を疑う」と批判し、従来通り「海にも陸にも新たな基地は造らせない」とする姿勢を強調した。

 また、稲嶺市長はオスプレイの嘉手納基地への追加配備計画を例に挙げ「負担軽減と言いながら、実態は相反するようなことの繰り返し。沖縄の声に耳を傾ける姿勢はみられない」と指摘。

 「安倍首相にとっては訪米の『お土産』なのかもしれないが、かえって県民の反発を招き、悪い方向に向かう。沖縄の世論を踏まえれば、米国も歓迎できるものではないと思う」と語った。

 名護市に隣接し、米軍キャンプ・ハンセンなどを抱える宜野座村の當眞淳村長は「北部市町村会でも辺野古移設の撤回を求める決議をしている」とし「県民の意思に反した頭越しのやり方で、地域の理解を得ないまま進めることは問題。沖縄の理解を得る努力をしておらず、県民、村民としては受け入れがたい状況だ」と語る。

 オスプレイ強行配備の問題など、県民が納得できない状況が続いているとし「米軍基地が沖縄に集中している現状に、県民は疎外感を感じている。負担は国民全体で平等に負うべきだ。仲井真知事は、これまでの発言通りに、県民の声を反映させた対応を取ってほしい」と訴えた。

 米軍伊江島補助飛行場を抱える、伊江村の大城勝正村長は「辺野古に移設されれば、当然、伊江島での訓練激化が予想される」と懸念。「民主党に政権が代わり、全県挙げて県外移設を目指し、取り組んできた。今更県内移設と言われても承服できない。前回の自民党政権時代以上に、県内の状況は厳しくなっている」と話す。

 オスプレイの普天間への追加配備や嘉手納配備計画が立て続けに明らかになり「あまり沖縄をなめてもらっては困る。沖縄の状況をどれだけ踏まえての発言か分からないが、政府は県民のことをしっかり考えて対応してほしい」とくぎを刺した。



沖縄タイムス
名護市民ら「いつまで植民地扱い」
2013年1月11日 09時51分
(6時間30分前に更新)

 政府が安倍晋三首相訪米の「手土産」として、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請を検討していることが10日、明らかになった。「どこまで米国にこびるのか」。オスプレイ配備容認に続く対米従属に、県民の怒りは臨界点を超える。

 【名護】地元名護市では移設に反対する住民らから、反発の声が上がった。

 名護市辺野古・豊原・久志の移設に反対する住民でつくる「命を守る会」の西川征夫代表は「想定内、やっぱり、という思いはある」と冷静に受け止める。一方で、「どれだけ反対しても駄目なのか。政府は県民をばかにしている。憤りを通り越し、感情が爆発しかねない。いつまで植民地扱いするのか」と声を荒らげた。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「辺野古に固執する安倍政権が、訪米の土産として普天間(移設)を進めるというアピールで、県民の民意を伝える気はさらさらない。どのような手続きでやってこようとも、体を張って止める」と憤る。「辺野古に造らせないとする稲嶺進名護市長を支えながら、仲井真知事に対して申請を承認しないよう呼び掛けていきたい」と話した。

 条件付きで移設を容認する辺野古区代替施設安全協議会の許田正武代表理事は「環境影響評価の手続きは終わっており、埋め立て申請を出すのは当然の流れだ。首相は県民の怒りを理解した上で、説得し、納得させなければならない」と指摘。今後の対応については「オスプレイ配備のように、国は強引にでも移設を進める。無条件で受け入れるわけにはいかず、こちら側の条件を伝えていかなければならない」と話した。

「強行なら関係崩壊」
県民大会共同代表
 2010年の県民大会で普天間飛行場の国外・県外移設を求めた共同代表たちは、民意を無視し続ける政府に怒りの声を上げた。

 当時、県婦人連合会長だった大城節子さん(79)は一報を聞き、「胸がどきどきする。なぜ沖縄はこんなにいじめられるのか。混乱している」。今は顧問に引いたが、那覇市の自宅玄関にはオスプレイ配備に抗議する赤いリボンが翻る。「今も全国の会合に行くたびに、温度差を訴えている。県民は絶対諦めては駄目だ」と力を込めた。

 県議会議長だった県議の高嶺善伸さん(62)は「安倍政権は県関係の自民党国会議員も含め、沖縄を丸ごと切り捨てて移設を強行しようとしている」と指摘した。10年県民大会の壇上で仲井真弘多知事が使った「差別」という表現を引き、「埋め立て申請の暴挙に出れば、政府と沖縄の関係は崩壊する」と警告した。



沖縄タイムス
政府に怒り「米国のしもべ」
2013年1月11日 09時56分
(6時間27分前に更新)

 普天間飛行場の県内移設やオスプレイ配備を阻止しようと各地で行動してきた県民からは、米国に追従する政府の外交姿勢や、過重の度を増す沖縄の基地負担に怒りの声が渦巻いた。

 沖縄平和市民連絡会の城間勝代表世話人は、訪米に合わせた埋め立て申請について「米国のしもべ。徹底的に米国にへつらう姿勢が沖縄を67年間苦しめてきた。許せない」と批判。「選挙期間中には言わず、終わったとたんに『辺野古』。既成事実を積み上げれば県民を黙らせられると思っている」と憤った。

 第3次嘉手納基地爆音差し止め訴訟原告団の新川秀清団長は「政府が繰り返す『地元の理解』の本性がこれか。米国への手土産に沖縄を差し出す政府に、反基地の闘いが加速する」と警告。「嘉手納基地へのオスプレイ配備計画が明らかになり、米軍絡みの事件・事故も絶えない。どこが負担軽減なのか」とあきれた。

 第2次普天間爆音訴訟原告団の島田善次団長は「7月にオスプレイが12機普天間に、来年以降は嘉手納に9機配備される。辺野古への基地建設を許せば沖縄はオスプレイの一大軍事拠点になる」と訴え。「食い止めるためには県民一人一人が立ち上がらないと」と警鐘を鳴らした。

 普天間飛行場の大山ゲートで連日抗議行動を続ける「命どぅ宝・さらばんじぬ会」の宮里洋子さんは「なぜ沖縄ばかり犠牲になるのか。やはり捨て石にされている。ふざけないでと言いたい」とやりきれない様子。「辺野古にも結集しなくては」と語気を強めた。

 ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局次長は「まったく予想していなかった」と驚き、「ジュゴンの生息地は先進国では日本と豪州だけ。先進国には希少生物を保護する役割が特に求められる。埋め立て申請は日本から世界にマイナスのメッセージを与えかねない」と危機感を強めた。







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