2013年2月16日土曜日

ジョージ・ソロス氏、昨年11月半ばから円売りで10億ドル(約930億円)を稼ぐ


豊島逸夫の金のつぶやき
ソロス氏、円売りで930億円稼ぐ
2013/2/14 9:47 (2013/2/14 15:55更新)

 今回の円安進行局面では投機筋の売買回転が効いている。すなわち、まず円を空売りして下がったところで買い戻し。そこで円高に振れたところで、すかさず再度、円を空売り。この繰り返しで円の水準がみるみる安くなっていったことを本欄でも繰り返し指摘してきた。

 その実例が相次いで明るみに出始めた。まず、ジョージ・ソロス氏が昨年11月半ばから円売りで10億ドル(約930億円)を稼いだとウオール・ストリート・ジャーナルが報じている。さらに、同氏のファンドのポートフォリオの10%は日本株だという。

 さらに他の大手ヘッジファンドのパフォーマンスを、フィナンシャル・タイムズが挙げている。

 まず、元ゴールドマン・サックスのパートナー、アンドリュー・ロー氏率いるカクストン・アソシエイツが過去3カ月で約10%のリターン。チューダー・インベストメントとムーア・キャピタルは約9%のリターンをそれぞれ記録した。いずれも業界では著名なファンドで、共通点は、グローバル・マクロ系。すなわち、マクロ経済の流れを読み通貨、債券、デリバティブの値動きに乗ってもうけようというヘッジファンドだ。

 今回は、アベノミクスの結果としての円安を読み、大胆に相場を張ってきた結果、短期にハイリターンをあげることができた。ちなみに、グローバル・マクロ系ヘッジファンドの過去3年間の平均リターンは3.5%であったという。

 さらに、先述の3つのファンドには、リーマン・ショック後のパフォーマンスが芳しくなく、苦境に立たされていた、という共通点もあった。

 ゆえにアベノミクスが、窮したヘッジファンドの救いの神となったわけだ。

 「グローバル・マクロ系ファンドの復活だ」との大手ヘッジファンドのコメントも紹介されている。


 中長期的に見れば、これらの投機的円売買はゼロサム・ゲーム。空売りした円は、「必ず」買い戻される。

 今の円安は、この投機筋による円売りポジションがどか雪のごとく積もり、それを、貿易収支赤字拡大傾向の中で膨張する輸入業者の円売り・ドル買いという「実需の根雪」ポジションが支える、二重構造になっている。ふわふわの新雪は、市場内の僅かな異音で表層雪崩を起こす傾向があることも留意しておくべきだろう。一方、輸入業者のドル買いは、急速な円安の進行に乗り遅れ、後手後手に回りがちだ。

 その意味では、輸入業者が為替の機会損失を価格に転嫁することで、最終的には日本人消費者がヘッジファンドをもうけさせてやった結果になっている面も否定はできまい。

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