2013年4月14日日曜日

小泉政権以降の教育改革が事態を悪くしたと、尾木さんはみる。成果主義に基づく学校評価制度の導入で、目の前でいじめが起きても学校は知らぬふりをする方向に流れる。

北海道新聞

ママの怒り
「ええ、風評被害で困っています」。人ごとのような言葉に、温厚なこの人も怒りを抑えられなかったという。教育評論家の尾木直樹さん。最近は「尾木ママ」としてテレビでおなじみだ
▼大津市の中学校で起きた生徒のいじめ自殺事件の第三者調査委員会のメンバーでもあった。先日、ある会合で裏話を聞かせてもらったが、あらためて思うのは教育現場の荒廃だ
▼調査のため初めて学校を訪れた時のこと。校長をねぎらおうと「今どんなことで悩んでいますか」と尋ねたところ、返ってきたのが冒頭のせりふだ。同市の次期教育長をうかがう実力者だと後で聞かされ、もう一度驚いた
▼いじめと自殺との関係を認めようとしない学校に対する生徒の不信感は、すぐに分かった。尾木さんが帰ろうとすると大勢の生徒が取り囲み「ママ、隠蔽(いんぺい)されないで」「学校にだまされちゃだめだよ」と口々に訴えてきた
▼小泉政権以降の教育改革が事態を悪くしたと、尾木さんはみる。成果主義に基づく学校評価制度の導入で、目の前でいじめが起きても学校は知らぬふりをする方向に流れる。教員が多忙になり、生徒と向き合う時間が十分取れなくなってもいる
▼いじめ対策として道徳の教科化が検討されている。尾木さんは「ほとんど意味がない」と批判的だ。教育は政治家のおもちゃではない。的外れの愚策では子供たちが迷惑する。
2013・4・14

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