2013年8月8日木曜日

最低賃金 広がる都会と地方の格差 「同じ仕事なのに・・・?」。 青森県の男性 相模原市内の友人宅に遊びに来た時にコンビニに張られた求人の時給に目をむいた。「849円」。同じ系列のコンビニで自分の時給は654円。「店で牛乳を買えば同じ105円。やりきれない」。

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<最低賃金>同じ仕事でなぜ違う…広がる都会と地方の格差
毎日新聞 8月6日(火)22時12分配信

 2013年度の最低賃金は6日、平均「14円」の引き上げ目安が中央最低賃金審議会の小委員会から示された。3年ぶりに2桁となる目安で、アベノミクスで物価が上昇基調にある中、生活の底支えに期待が高まる。一方で都会と地方の「最賃格差」はまた広がり、東北地方の労働組合幹部からは「若者がまた離れてゆく」と嘆きにも似た声が上がっている。

 小委員会が示した目安は、東京都や神奈川県などAランク(5都府県)が19円、Bランク(11府県)が12円、Cランク(14道県)とDランク(17県)は10円。ランクは各地の経済状況によって分けられ、上位は首都圏が集中し、下位は東北、九州、四国が目立つ。

 「同じ仕事なのに、なんでこんなに違うの?」。青森県の男性(23)は、今年4月、相模原市内の友人宅に遊びに来た時にコンビニに張られた求人の時給に目をむいた。求人には「849円」の文字。同じ系列のコンビニでバイトする自分の時給は654円、その差は195円だ。「店で牛乳を買えば同じ105円。やりきれない」。今年度、目安通り上がればその差は204円に開く。

 東北地方の労働組合で作る全労連東北地方協議会は、この時期に各地をキャラバンで回り、首長や経済団体へ最低賃金を引き上げるよう要請を続けている。「こんなに賃金が違うと若者はみんな東京へ行く」と地域の衰退を心配する声は多い。全労連の伊藤圭一調査局長は「地方は疲弊している。被災地で地域循環型の地域経済を作ろうにも、低賃金で若者が流出している。賃金の格差解消が必要」と訴える。反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「47都道府県別にやっていることが問題。地方を疲弊させないためにも一律の最低賃金が必要だ」と話している。【東海林智】


最低賃金上げなお遠く 労働者は育児、病気…ギリギリ 経営者 人件費ばかり重く
産経新聞 8月7日(水)7時55分配信

国の中央最低賃金審議会の小委員会が協議していた今年度の地域別最低賃金の目安が6日、全国平均14円の上げ幅で決着した。最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の支給水準を下回る「逆転現象」はほぼ解消される見通しだが、非正規労働者の増加とともに家計の担い手が最低賃金に近い時給で働くケースは増えている。また、賃上げは経営側の負担増にもなるため、労使の厳しい状況は変わらない。

「今の賃金体系では、将来に希望を持つことすらできない」。10円の上げ幅の目安が決まった鹿児島県で、パート事務を勤めている女性(26)はため息をつく。

女性は母親と同居しながら、7~4歳の子供3人を育てるシングルマザー。時給は県の最低賃金(654円)を上回る750円だが、平日午前9時~午後5時半まで働いても、毎月入ってくる給料は10万円あれば良い方だ。収入の大半は家賃や食費などの生活費に消えていき、子供の教育費をためることすらできない。

「子供が大きくなれば学校の入学費、制服代など必要になるお金も増える。賃金を大幅に引き上げてもらわなければ、これから先、やっていけなくなる」。女性は不安を隠せない。

19円の大幅な引き上げの目安が示された神奈川県でも、さらなる引き上げを求める声が上がる。横浜市のパート事務員の女性(34)は、甲状腺の病気やぜんそくを抱えながら働く。

神奈川県の最低賃金は849円だが、女性は時給970円で月約11万円の収入を得ている。だが、月1回の健診のほか、体調が悪ければその都度、通院費用がかさむ。親と同居するが、親の収入も微々たるもの。「月末に生活費が足りなくなってくると、体調が悪くても病院に行くのをやめようと思うこともある。体のことを考えた貯金もできない」と将来を思い悩む。

「月20万円ほどもらえる時給体系になれば、もう少し気持ちに余裕を持って生活ができるのに」と、最低賃金千円以上の実現などを求める訴訟に参加した。

小委員会での議論に参加した日本労働組合総連合会の須田孝総合労働局長は、「生活できる水準ギリギリの地域もある。最低賃金はさらなる引き上げが必要だ」と語った。

一方、大幅な引き上げ目安の提示に、アベノミクスの恩恵を受けられない地方の経済団体関係者からは戸惑いの声が広がる。

東北地方の企業経営者は「東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた太平洋沿岸部の水産業が立ち直っていない。廃業が相次いでいるのに、引き上げは経営の悪化に追い打ちをかけるだろう」と不安を隠さない。

中国地方のある経営団体幹部は「輸出産業もなく、設備投資も行われていない。円安や株高による恩恵はないのに、人件費の負担だけが増していく」とため息をついた。

■地域格差の縮小を

国学院大名誉教授、小越洋之助氏(労働経済学)の話「これまで最低賃金で働くのは学生などのアルバイトが中心だった。しかし、今は家計の担い手が非正規労働者となり、最低賃金で働くケースが増えている。賃金の低い地方から高い地域へ労働者の流出も深刻だ。若者の貧困拡大を防ぎ、地域格差をなくしていくためにも、最低賃金のさらなる引き上げが必要となる」

■中小企業配慮して

北海学園大、川村雅則准教授(労働経済学)の話「最低賃金が上がれば労働者の消費意欲が高まって企業収益につながるはずだ。低賃金、デフレ脱却の悪循環を断つことにもなる。ただ、最低賃金の引き上げで中小企業が受けるダメージを抑える政策も必要となる。国は予算を十分に確保した上で、引き上げ分を補填(ほてん)する仕組みを作るなど対策を早急に打ち出すべきだ」












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