2014年4月17日木曜日

松尾大社の裏山に巨岩 磐座信仰に関連か (京都新聞)

京都新聞
松尾大社の裏山に巨岩 磐座信仰に関連か

 京都市西京区の松尾大社が一昨年からの台風被害を受けて本殿裏山の樹木を伐採したところ、巨大な岩肌が現れた。松尾大社は近くの松尾山頂上付近にある巨岩「磐座(いわくら)」が信仰を集め、その神霊をまつる社殿として飛鳥時代に山のふもとに建てられたとされる。専門家は「創建場所として磐座と似た巨岩のそばを選んだのではないか」とみる。

 2012年10月の台風17号や昨年の台風18号で裏山の10本以上の樹木が倒れ、国重要文化財に指定されている本殿の屋根の一部が損傷を受けた。現在の本殿は1397(応永4)年に建てられたとされ、屋根には繊細な檜皮(ひわだ)が使われている。「このままでは大きな被害が出かねない」と京都府教委文化財保護課の助言を受け、今年に入って本殿の真後ろにある樹木の伐採を始め、3月末に終えた。

 伐採の過程で巨大な岩肌があらわになった。竹内直道禰宜(57)は「なぜこんな危険な山の真下に社殿を構えたのか、以前から不思議だった」と前置きし「神様を招く場として、これほどふさわしい場所はなかったかもしれない」と語る。

 松尾大社によると、社殿が建てられる以前の太古から、松尾山頂上近くの磐座は祭神が降臨した場所としてあがめられていた。後に大陸から渡来した有力豪族の秦氏が住み、松尾山の神を氏神として仰ぐようになった。701(大宝1)年の勅命で今の場所に社殿が建設され、神霊を磐座から社殿に移したとされる。

 辰巳和弘・元同志社大教授(古代学)は「大変興味深い。本殿の場所を決める際に巨岩を神聖なよりどころとした可能性が高い」と指摘した上で、「あくまで山頂の磐座が信仰対象なので、年月とともに麓の岩が土で覆われても放置したのではないか」と話す。

【 2014年04月16日 22時24分 】

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