2015年10月7日水曜日

小津安二郎、初のカラー作品『彼岸花』(1958)【小津安二郎名画館】 — シネマトゥデイ


左から田中絹代、有馬稲子、桑野みゆき

戦前の小津作品においてヒロインとして多く出演した田中絹代が母・清子を演じ、戦争時代を振り返って家族が一つだった時代をしのぶシーンは、味わい深い。「戦争は厭(いや)だったけど、時々あの時のことがふッと懐かしくなることあるの。あなた、ない?」「ないね、おれァあの時分が一ばん厭だった。物はないし、つまらん奴が威張ってるしねえ」(井上和男編 小津安二郎全集 新書館)。大げさではなく自然に出た夫婦の会話に戦争観を潜ませる厚みのある演出だ。


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