2017年7月30日日曜日

山崎拓・元自民党副総裁 政界インタビュー:時事ドットコム ; 岸田氏もはっきりしない。それでは駄目だ。何でもいいから安倍首相の足や腰にしがみついて、(政権を)譲ってくださいと。あなたに最後まで忠誠を尽くすから譲ってくださいと、これじゃあ見苦しい。政治思想としての輝きがない。ブリリアントな政治家ではない。...


 (略)

岸田氏は自民リベラル勢力復興を
 
 ─人事では岸田文雄外相の処遇が注目される。派閥の会長として来年秋の自民党総裁選をにらみ、このまま安倍政権で外相にとどまるのがいいのどうか。党のポストに就くのではないかとの見方もあるが。

 山崎氏 私は岸田氏にとって第三者でしかないが、私に言わせれば、彼はリベラルの伝統の中にある人間だ。だからリベラル勢力復興という形の中で出てくるのが一番いい。今もこれからも憲法改正がテーマになる。そのとき、はっきりリベラルの立場を取った方がいい。そのリーダーとして打って出て、求心力を働かせる。政権はすぐに取れないと思うが、それでいいと思う。すがすがしい、すっきりした政治姿勢を打ち出すべきだ。彼はリベラルの系譜の中にある人間だと思う。

 ─安倍首相とは考えがかなり異なる。

 違うスタンスを取るべきだ。首相がテーマを憲法9条改正にした以上、そうすべきだ。彼は以前(5月11日)「憲法9条改正の考えはない」と言ったことがある。それを貫かないと駄目だ。今は黙ってしまったが。

 民進党もそうだ。憲法改正はここ一両年の大テーマだ。そこに焦点を絞るべきだ。ポリティカル・イシューが今はそこにある。70年間できなかったことをやろうとし、しかも9条に手を付けようとしている。民進党も絶好のチャンスだ。ところが、民進党内は割れている。憲法9条改正にも理解あるような態度を示す者がいるが、はっきりしない。

 岸田氏もはっきりしない。それでは駄目だ。何でもいいから安倍首相の足や腰にしがみついて、(政権を)譲ってくださいと。あなたに最後まで忠誠を尽くすから譲ってくださいと、これじゃあ見苦しい。政治思想としての輝きがない。ブリリアントな政治家ではない。政治家はリーダーになろうとすれば、ブリリアントでなければ駄目だ。いかに輝くかということを心掛けないといけない。そうでないと有権者は魅力を感じない

 民進党もそうだ。とにかくスタンスがバラバラで党内に幾つも異なる政策があって、発信がバラバラでまとまっていない。リベラルなのかどうかさえ分からない。「民進党は保守政党だ」と言う者もいるぐらいだ。共産党や社民党の考え方までいかなくていいが、少なくともリベラルという言葉には輝きがある、これを活用すべきだ。リベラルはすごく魅力的な単語だ。それを活用してきたのは加藤紘一氏(元自民党幹事長)であり、谷垣禎一氏(前自民党幹事長)だ。

 ぼくは加藤氏の葬儀の弔辞で「最大で最強のリベラルが死んだ」と言った。ぼくは保守サイドの人間だけど、リベラルという表現には魅力を感じるし、保守と対立的な概念は必要だ。議論するには対立する概念が必要だ。政治は討論、ディベートの世界だ。保守対リベラルという対立概念の中でディベートして、アウフヘーベン(止揚)して、議論の質を高め深めていくのが本当の政治の手順だ。

 今は全くそんな議論がない。「黙れ」「うるさい」「俺の言うことを聞け」「俺が正しいんだ」…、それだけだ。それは討論じゃない。

 ─反対意見は聞きたくないと。やじも嫌と。

 やじに対して自分もやじる。要するに、その程度だ。レベルが低過ぎる。そのレベルで日本の政治を任せているのは恐ろしいことだ。

 (略)

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