2011年12月17日土曜日

天長8年(831)~天長11年/承和元年(834) 清原夏野ら『令義解』10巻を撰上 淳和譲位・仁明即位

東京 北の丸公園(2011-12-15)
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天長8年(831)
9月7日
・新羅の海商がもたらす商品を買いあさる現状に対し、この日付の太政官府符では、大宰府の官人に最上の物を選ばせて都に運ばせ、残りは現地で妥当な価格での交易を許すことにする。
養老令の関市令(げんしりよう)にある、官司が公的な交易をする前に諸事と私的に交易してはならず、これに違反した交易品は没収される、との規定を再確認したようなもの。

この太政官符では、「愚闇(ぐあん)の人民」が「外土の声聞に耽(ふけ)り」(馬鹿な連中が舶来品をほしがって)、「境内の貴物を蔑み」「家資殆ど尽くす」(我国にも立派な製品があるのに、財布をはたいて輸入品を買いあさる)、と非難する。
その上で、「商人来着せば、船上の雑物一色以上、適用の物を簡(えら)び定め、駅に付して進上せよ。不適の色は、府官検察し、あまねく交易せしめよ。其の直(あたい)の貴賎は、一に沽価によれ」(『類聚三代格』巻18)と命じる。

中央政府も舶来品に憧れているということを告白したようなもので、現場を押さえている大宰府官人のやりたい放題になる。
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11月5日
・安芸に移配の俘囚長、吉弥侯部佐津古、華風に馴れ教喩に効果ありとの理由により外従八位下を授けられる。
同日、同じく安芸に移配の俘囚吉弥侯郡軍麻呂、同じ理由により外少初位下を授けられる。
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天長9年(832)
この年
・藤原緒嗣が左大臣となる。
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天長10年(833)
2月
清原夏野ら『令義解(りようのぎげ)』10巻を撰上
格・式が法典化されて吏務に供される時代になっても、政府は、「養老令」を基本法典として保持していた。
8世紀以来、その個々の条文についての法家(法律専門家)の解釈がいろいろに分かれて紛糾の状を呈していた。
淳和朝では、明法博士額田今足(いまたり)の建策に従い、令文の解義の統一をはかることにした。
当代のすぐれた法家・学識者が多くこの事業に参加し、この年完了、翌年に公布。
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2月20日
・筑後に移配の夷・第五等、都和利別公阿比登、私稲を提供して弊民に資すとの理由により、従八位上を授けられる。
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2月28日
・淳和天皇が譲位し、皇太子正良が践祚。
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2月30日
・恒貞(つねさだ)親王を皇太子に立てる。
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3月2日
・皇太后橘嘉智子を太皇太后とする。
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3月6日
・仁明(にんみよう)天皇が即位。
仁明天皇には、既に藤原順子を母とする道康親王が生まれているので、この後にも、順子を皇后に立てることもできたかが、皇太子恒貞の立場に挑戦することになるため、嵯峨・淳和両上皇の思惑の交錯する中で、立后は暫し控えらる。
淳和上皇は、淳和院(御所)に移り住み、死ぬまでそこを居所とする。冷然院のように、大内裏に隣接はしていない。現在、淳和院の別名として「西院」という地名が残る。
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天長11年/承和元年(834)
この年
・参議文室秋津をその別当(長官)に任じ、左・右検非違使庁の吏務を統一させた。
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3月16日
・遣唐使派遣に先立ち、この日、大宰府に在留している唐人張継明を入京させ、最新の唐情報を入手している。
この事は、東アジア世界の情報を得るために遣唐使を派遣する必要性は薄れてきている事を示している。これ以前にも、弘仁10年(819)6月には、唐の越州の周光翰が新羅船に乗って来着した時には、彼に唐の消息を尋ねて最新の唐情報を得ている(『日本紀略』弘仁10年6月16日条)。
同様の来着者は大勢いたので、唐情報はかなり豊富だったと考えられる。
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8月
・前年に即位した仁明は、父上皇と生母のために冷然院で盛大な宴会を開く。
天皇はみずから玉巵(ぎよくし、玉杯)を奉じ、朝廷の伶人(れいじん)は楽を奏し、源氏の児童すなわち嵯峨上皇夫妻の幼い孫たちを殿上に召しあげて舞いをつとめさせた。
公けの催しでありながら、源氏児童の出演に家父長的な臭みが強くただよっている。
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8月22日
・暴風雨の為、京中の民家が多数倒壊。
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12月
・空海(61)、12月19日、毎年正月宮中において行われている金光明最勝会において、別に真言の修法を行いたい旨を上奏、29日の官符で許される。
これが、後七日御修法(ごしちにちみしほ)である。
宮中における国家鎮護を願う公的な行事が真言の法をもって制度化された、ということ。
後七日御修法は現在も東寺に場所をかえ、正月8日からの一週間執り行われている。
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・空海の求めにより宮中真言院が設立される。
最澄が南都の戒か自分の戒かの二者択一を追ったのに対し、空海は、南都の戒と真言宗の戒とを併有しても差し支えない、という態度をとり、この論理で宮中真言院の設立を求める。
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・『令義解』施行。
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