2012年7月1日日曜日

元米国国防分析研究所主任分析官が、オスプレイの機能に関する防衛省の解説を否定

琉球新報
オスプレイ、防衛省解説を否定 元国防分析研リボロ氏
2012年7月1日            
 【米ワシントン29日=松堂秀樹本紙特派員】米軍普天間飛行場に8月にも配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの安全性に関する防衛省作成の解説書に疑義が生じている。防衛省が作成した解説書は、オスプレイが万が一飛行中にエンジンが故障した場合でも「垂直離着陸モード(ヘリモード)に移行してオートローテーション(自動回転)を行う」と図説した。これに対し、米国の国防分析研究所の元主任分析官レックス・リボロ氏は「もしエンジンが突然停止したら図説通りにならず、制御を失って墜落する」と指摘し、図説については「通常のヘリに対して使われている説明だ」と批判した。琉球新報の取材に答えた。
 防衛省が「シミュレーター(模擬操縦装置)を使って緊急着陸訓練をしている」とした説明についても「模擬操縦装置によるオートローテーションの模擬実験では毎分2千フィート(約610メートル)降下した。実際に上空で行えばその速度のまま墜落する。オスプレイ関係者の間では常識だ」と述べ、基本的情報の不足を指摘した。
 防衛省はオスプレイ配備に向けた環境審査書と合わせ「MV22オスプレイ-米海兵隊の最新鋭の航空機」と題した全21ページの解説書を作成。「文面も擦り合わせており、オートローテーション機能が十分にある」(同省関係者)としている。
 解説書では「飛行中に両方のエンジンが故障した場合、どうするのですか?」という設問に対し「万が一の緊急着陸の際、固定翼モードに移行して滑空するか、ヘリモードに移行してオートローテーションを行う」と回答。オスプレイのオートローテーションのイメージ図を掲載した。

 これに対し、リボロ氏は「オスプレイはオートローテーション能力が欠如しており、エンジン停止時にヘリモードに移行するのは非常に危険だ」と指摘。実際、ベル・ボーイング社が一度、出力を少しずつ低減させオートローテーションの実験をしたところ、毎分5千フィート(1524メートル)以上の速度で降下したと説明。「模擬操縦装置の実験でも毎分2千フィートの降下率だった。いずれにしても実際にオートローテーションで着陸しようとすればコントロールを失ってそのまま墜落するだろう」と話した。
 また防衛省の「両方のエンジンが停止した場合にも対応できるよう、模擬操縦装置を使って緊急着陸の訓練も行っている」とした説明にも「ビデオゲームより少しましなだけで、模擬操縦装置と現実はまったく違う」と指摘。「模擬操縦装置によるオートローテーションが成功したのなら、なぜ誰も実行しないのか。訓練が禁止されているのは非常に危険だからだ」と話した。

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