2013年1月9日水曜日

那須塩原市、限界に近づく指定廃棄物の保管(下野新聞)

下野新聞
那須塩原市、限界に近づく指定廃棄物の保管
(1月7日)

 那須塩原市のごみ処理を一手に担う那須塩原クリーンセンター。放射性物質を含む剪定枝や草、落ち葉を受け入れているため、焼却炉で出る飛灰の放射線量は直近の昨年11月の計測で1キロ当たり2万ベクレルを超えている。放射線量が高い灰が出続ければ、1日ほぼ4袋(4立方メートル)ずつ指定廃棄物が増え、来年度前半には場内での保管に限界が来る。最終処分場建設のめどが立たない中、放射性物質との先が見えない戦いが続く。

 同市蟇沼の同センター場内。放射線を99%遮断する厚さ30センチのコンクリート壁を回した真新しいテント倉庫に、丈夫で大きい“特注”バッグに詰め替えた飛灰(集じん機にたまる灰)が約700袋積み上がる。「この倉庫も最終処分場ができれば壊すんです」と茂呂幸利所長はため息をつく。

 同市は大田原市や那須町、塩谷広域行政など周辺市町が受け入れをやめたり制限したりする中、市民の除染を後押しする立場から剪定枝や落ち葉などの焼却を続け、焼却灰以外も含め県内最多の3276立方メートル(昨年11月末)の指定廃棄物を保管している。「センターで燃やして放射性物質を捕まえるのが一番の除染」(長山治美市生活環境部長)と考えるからだ。しかし負担は大きい。

 9月補正予算では2棟目から5棟目までのテント倉庫の建設費と、従来の汎用品から耐久性の高いバッグに焼却灰を詰め替える費用計2億6500万円を追加計上。12月補正予算には年度末までに使うバッグの購入費用850万円を計上した。耐久性が高いバッグの価格は汎用品の4~5倍という。

 最終処分場建設用地が決まったとしても、運び込めるのは早くて3年先。飛灰を入れたバッグは昨年11月末で2千個を超え、場内各所に仮置きしている。安全に保管できるテント倉庫全5棟が完成しても、それを納めれば約400袋分しか空きがなく、4月ごろまでにいっぱいになる。「今仮置きしている車庫などを利用しても、9月ごろまでしか場内に保管できない」(茂呂所長)という。

 飛灰の放射線量が下がる可能性もあるが、別の倉庫用地を見つけるか受け入れをやめるか、選択を迫られることになる。

0 件のコメント:

コメントを投稿