大正12（1923）年
9月4日
【横浜証言集】Ⅰ横浜市南部地域の朝鮮人虐殺証言
（2） 中村町、石川町、山手町、根岸町付近
④南吉田小六年男子「巡査が朝鮮人ばっとう」
四日の朝に正金銀行のそばでは人が二千人も皆焼死だ人が死デいました 急で家へかひりました 又巡査が朝鮮人おばっとうしていましたから前の亀屋の父が鉄のぼうでころしてしまいました
⑨石川小高等科二年「手と足をしばって学校の坂からづるづるとひきずって車橋からほっぽる」
三日の昼から学校の校庭に災難することになった。
〔四日？〕朝からぼんやりと桜の木によりかかって、何を考えて居る間に、昼頃になった。運動場へ、へんなずぽんとしゃつを着た人が入ってき来た。だれかがおまへはだれだと云って聞くと、〔鮮人〕私たし日本人と言葉が大層へんであった。昨夜から鮮人が一ぞに時の声をあげてさわいて居るものですから、植木会社では先の尖った棒を皆に一本づづく〔ばっ〕てました。皆は朝からもらった棒を用心して、其れあやしいぞと云ふ声に其の棒をふりまはしてなぐりつけた。ごめんなさい、かんにんしてくださいと鮮人はさわいでいる。皆でしらべてぽけっとを見たら、どく薬だのマッチと紙を多さん持って居ると云って、こんなやつなんか殺してしまわなければ居けないと云って、やれ、やれと云って、ぶったりけったりなんかして、目の上の○をとびくり出した。其れでもおき上がろうとして居た。足と手をしばって学校の坂からづるづるとしきづ〔ひきず〕って、車橋からほっぽってしまった。其れでもまだ上がってこようとした。皆で石を投げたりしたら、死んでしまった。
【横浜証言集】2 横浜中部地域の朝鮮人虐殺証言
（2）横浜公園、横浜港方面
⑦東京朝日新聞「米汽船上で鮮人六名殺す」
米汽船上で 鮮人六名殺す 罹災見舞に上京した静岡市民80名が
9月1日静岡県清水港を出帆した米国汽船プレジデント・ジェファーソン号には東京の罹災者見舞の為め静岡市民等が80名乗船し2日未明横浜に入港したが4日の朝上陸に際し船員から「横浜市内は鮮人が乱暴を働いているから注意せよ」と注意され、其時乗客は端なくも6名の朝鮮人が同船客にあることを発見し一同忽ち殺気立って2名の鮮人を殺し、残りの4名を海中に投じ、傍らにいた支那人の母娘をも誤って海中に投じた。然るに右乗客連は一隊となって上京の途鶴見で自警団に誰何されたが一名は答弁要領を得なかった為か誤って殺され内懐にあった手帳により和歌山県人なること判った。（一九二三年一〇月二一日付）
【横浜証言集】3 横浜市北部地域の朝鮮人虐殺証言
（2）高鳥山、反町、二ッ谷橘、東神奈川付近
⑰岩瀬百蔵 （被災当時二八歳） 「針金で手足をしばられ」
〔四日、横浜ときわ町で死んだいとこのお骨をもらいに行く途中で〕 いろんな悲惨な状態をみました。生麦のあたりまで行きましたら、針金（8番線）で手足をしばられ、身体中たたきのめされた後がある死体が道路はしに置きざりにしてありました。死体には大きな青ばえが群がって、みるもむざんな姿でした。横浜駅に行くまでの間に、そのような死体が10体ほどありました。デマによる朝鮮人暴動の犠牲者でしょうね。神奈川警察署の前で近衛兵57連隊の兵隊が通行人の持っている日本刀を検閲していました。あの頃は警察よりも軍隊のほうが権力がありましたからね。
（「十一時五十八分 川崎市南部罹災者の声」一九七〇年）
【横浜証言集】4 鶴見地域 （橘樹郡） の朝鮮人虐殺証言
③鶴見事件「裁判になった朝鮮人虐殺事件」
横浜地方裁判所で扱った朝鮮人虐殺事件：鶴見事件
（1） 事件のタイプ 朝鮮人虐殺事件
（2） 事件の年月日 一九二三年九月四日
（3） 事件の発生地 神奈川県橘樹郡鶴見町
（4） 事件の概要 自警団員四名は、警戒中、鶴見町総持寺前を通行する朝鮮人を捕らえたところ、朝鮮人が懐中に軍隊用の重焼パンを持っていたので 「不逞鮮人」と誤認し、料亭華山荘付近の山道に連行し、居合わせた十数名の者とともに棍棒で殴り殺した。
（5） 判決の年月日 一九二四年二月一六日
（6） 判決の内容 被告四名
森野 博造 懲役二年（執行猶予三年）
田村 勘助 懲役一年（執行猶予三年）
石崎長次郎 懲役一年（執行猶予三年）
横溝善次郎 懲役一年（執行猶予三年）
（朝鮮人虐殺関連新聞報道資料）
つづく
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