2013年8月1日木曜日

麻生太郎、「ナチスの手口に学ぶ」発言を撤回 (改憲の)「悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげた」

朝日新聞   2013年8月1日11時47分
麻生氏、ナチス発言を撤回 「改憲の悪しき例上げた」

麻生太郎副総理兼財務相は1日午前、憲法改正をめぐってナチス政権を引き合いに「手口に学んだらどうか」などと発言したことについて、「誤解を招く結果となったので撤回したい」と述べた。財務省内で記者団に語った。国内外で批判が高まっていることを踏まえ、発言を撤回することで早期の収拾を図る。

麻生氏は記者団に「(発言が)私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ」と述べたうえで、「憲法改正については落ち着いて議論することが極めて重要だと考えている。この点を強調する趣旨で、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解、議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例としてあげた」と説明した。

さらに「私がナチスやワイマール憲法にかかわる経緯について極めて否定的にとらえていることは、全体の流れをみていただいたらはっきりしている」と語り、ナチス政権を肯定する立場ではないことを強調した。その後、同じ内容のコメントも発表した。

麻生氏は7月29日、東京都内のシンポジウムで「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」などと語った。

これに対し、米国の代表的なユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が30日に批判声明を発表したほか、韓国、中国両国外務省のスポークスマンも批判するコメントを出した。

麻生氏が発表したコメント全文

麻生太郎副総理が1日に発表したコメント全文は次の通り。

7月29日の国家基本問題研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。

私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい。







朝日新聞    2013年8月1日11時59分
「撤回は当然」与党からも批判 麻生氏のナチス関連発言

安倍政権は麻生太郎副総理の発言撤回で事態の幕引きを図る。ただ、政権のアキレス腱(けん)とも言える歴史認識をめぐる失言には与党内にも困惑が広がる。野党は2日に召集される臨時国会で追及する構えだ。

菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で「安倍内閣としてはナチス政権を肯定的にとらえることは断じてない」と述べ、批判の払拭(ふっしょく)に努めた。だが、自民党の外相経験者は「ナチスにたとえるのは不適切。まったくお粗末な人だ」と批判。自民党のベテラン議員は「撤回するのは当たり前。参院選期間中でなくてよかった」と語った。公明党の山口那津男代表は会見で「枢要な立場にある政治家は発言に重々配慮することが重要だ」と語った。

民主党の大畠章宏幹事長は1日、東京都内で記者団に「外交問題まで大きく影響する可能性は否定できず、国益を損ねる発言だ」と述べ、臨時国会で追及する考えを示した。日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は「行き過ぎたブラックジョークだったのではないか。ナチス・ドイツを正当化した趣旨ではない」と市役所で記者団に語った。さらに「むしろ憲法を過信してもダメ、憲法改正論議を心してやらなければいけないという趣旨だったのではないか。表現上問題があれば麻生大臣の判断で修正されればいい」とも指摘した。

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