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台風直撃で東京湾が危ない!? 放射能汚染物質が大量流出
2013年10月17日 掲載
<土砂ごと流され撹拌されて海へ>
この10年で最も強い台風26号が関東を直撃。多数の死者・行方不明者を出したが、その影響は思わぬところまで及んでいた。“東京湾”である。 京大の研究グループによると、東京湾の放射能汚染は2014年3月まで悪化し続け、その後10年間は同じ状態が続くという。湾口が狭いため、一度汚染してしまうと浄化されるまでに時間がかかるのだ。
原因となる汚染物質は山から流れてくる。環境ジャーナリストの天笠啓祐氏が言う。
「林や森にたまった放射性物質は除染できません。山林は範囲が広いですから人の手で作業していくのは困難です。ずっと汚染されたままになる。木の葉や土と一緒に河川に流れ込むことになります」
汚染はジワジワと時間をかけて下流に向かうのだ。実際、今年も江戸川の中流で捕獲されたウナギ4匹から放射性セシウムが検出されている。最大で国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える158.9ベクレルだった。
放射性物質の移動について調査を続ける東大大学院新領域創成科学研究科の鯉渕幸生准教授が言う。
「詳細は分かりませんが、海水と淡水が混合した汽水域に生息するゴカイなどを食したウナギに移行した可能性はあります。河川の土砂は汚染濃度が高い。汽水域も影響を受けています。ただ、汚染された土砂は現在、河床表面から数十センチ下にたまり、その上には汚染されていない土砂が積もっている状況です」
汚染土はキレイな土砂で“ブロック”されているわけだ。
しかし、台風で崩されれば、海まで流れ込んでしまう。
「特に、今回は相当水量が増えましたから、汚染物質は土砂ごと流された危険性は高い。しかもそれを台風が撹拌(かくはん)するから汚染範囲も広がります。湾内はかなり危ない状況ですね。そもそも、汚染物質についても、測定されているのはセシウムのみ。東電が放出した放射性物質は、1000種類といわれてますから、ストロンチウムやトリチウムなどの影響は計り知れない。細かな調査が必要です」(天笠氏)
東京湾は規制の対象外。潮干狩りや海水浴、五輪ではトライアスロンの会場になる……大丈夫なのか。
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