2013年10月9日水曜日

山形県議会本会議、TPPで、政府が「聖域」としてきた農業の重要5項目の関税を維持するよう求める意見書案を賛成多数で可決

河北新報
TPP交渉「公約違反」「支援必要」 東北の農業者、批判と注文

 環太平洋連携協定(TPP)交渉で、政府がコメなど重要5項目の一部品目で関税撤廃の検討に入ったのを受け、東北の農業者の間に不安が広がっている。自民党は7月の参院選で5項目を関税撤廃の例外とする「聖域」に位置付けた。関係者からは「公約違反」との批判が噴出する一方、生き残りを図る生産者への支援策を求める声が上がった。

 青森県農協中央会の岡山時夫会長は「公約を守れないという点では、自民党は民主党と変わらない。与党として約束は守るべきだ」と皮肉った。

 自民党は参院選前に公表した政策集でコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物の5項目について「聖域を確保できない場合、(交渉)脱退も辞さない」などと明記していた。

 「ある程度妥協を迫られることは覚悟していたが、感情的には公約なのだから守ってほしい」と話すのは、水田40ヘクタール以上を耕作する山形県酒田市の特定農業生産法人「和農日向」代表の阿曽千一さん(61)。「国として農業が不要だということでないのならば、10年後、20年後のビジョンを示してほしい」と言う。

 東日本大震災の津波で被災した岩手県陸前高田市小友地区で農業法人の設立準備をする佐藤悦男さん(63)は「コメに関しては外国産が安いからと言って売れることはないと思う」と語り、影響は限定的との見方を示した。

 宮城県大河原町でブランド豚肉「和豚もちぶた」を生産する「ヒルズ」社長の佐藤克美さん(42)は「本丸のコメの関税は死守されても、豚肉など他の項目は交渉材料になってしまうのではないか。国内の生産者が生き残っていけるよう、食肉処理場の効率的運営などを進めてほしい」と注文を付けた。

◎「重要5項目 関税維持を」/山形県議会が意見書

 山形県議会9月定例会は8日、本会議を開き、環太平洋連携協定(TPP)で、政府が「聖域」としてきた農業の重要5項目の関税を維持するよう求める意見書案を賛成多数で可決した。年内の交渉妥結に向け、関税撤廃に応じるかどうか検討に入るとする政府の方針転換を厳しく批判した。

 意見書は「衆参両院の農林水産委員会では、重要5項目を除外する決議を行っている」と指摘。「聖域確保に万全を期し、国益を損なう場合は交渉から離脱すべきだ」と強調した。

 最大会派自民党の野川政文代表は「意見書は聖域をなし崩しにする政府の姿勢は駄目だという地方の思いだ」と語った。7月の参院選山形選挙区で「国益を守る」と訴え、党の新人候補が当選した経緯もあり、地方と政府の立場の違いを強調した格好だ。

 県議会は2月定例会で、TPP交渉参加に反対する意見書を可決し、国に提出している。

2013年10月09日水曜日

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