滋賀大
学長選 最下位得票者が学長に 教職員組合、選考会議の公表要求 /滋賀
毎日新聞2015年12月10日 地方版
滋賀大(彦根市)の学長選考会議(議長・塩田浩平滋賀医科大学長)で新学長に選出された位田隆一氏(67)=同志社大大学院特別客員教授=が、事前の教職員による投票では候補者3人中、最下位で1位の半数以下の得票だったことが大学関係者への取材で分かった。滋賀大で投票結果が覆されたのは初めて。大学の学長選考規定が今年変更され、投票結果が「尊重」から「参考」に改められたことが影響した形だが、学内からは「民主主義をないがしろにする暴挙」と批判が続出。教職員組合は、会議の審議内容を明らかにするよう求める公開質問状を提出した。【西村浩一】
学長選考会議は滋賀大の教授4人と、学外の有識者4人の計8人で構成する。関係者によると、今回の学長選で選考会議は、滋賀大で監事を務めている位田氏のほか、杉江徹・教育学部教授と北村裕明・経済学部教授の3人を学長候補者として推薦。他に応募がなかったため3人が11月に立会演説会に臨み、学内の専任講師以上の教員や係長級以上の職員計256人を対象として12月3日に意向投票が実施された。184人が投票し、結果は、杉江氏83票▽北村氏65票▽位田氏35票▽無効1票−−だった。
しかし、同じ日の学長選考会議では、新学長に位田氏を決定。理由について会議側は「求められる学長像にふさわしい人物を選んだ」としたが、教職員らに経緯の説明はなかったという。
国立大学の学長選考を巡っては昨年、文科省が「意向投票の結果をそのまま反映させるなどの選考方法は、学長等選考会議の主体的な選考という観点から適切でない」と各大学に通知。このため滋賀大は今年4月、選考規定を改正していた。
滋賀大教職員組合で委員長を務める市川智史・環境総合研究センター教授は「得票がわずかな差ならまだしも、これだけの差があるのに3位を選ぶ理由が分からない。大学の自治、民主主義が無視された」と批判。これに対し、選考会議の塩田議長は取材に「議長としては、審議内容は公表すべきではないと判断している」と、滋賀医大の広報担当を通じてコメントを出した。
大学の学内ガバナンス(統治)に詳しい吉武博通・筑波大教授は「制度上問題はなくても、今回は得票に大差がある。選考会議が理由を丁寧に説明しなければ、『意向投票は何だったのか』との不信感を解消できないのではないか」と話している。
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