2013年11月25日月曜日

秘密保護法案:福島で地方公聴会 原発情報に懸念(毎日新聞) 発言要旨(朝日新聞) 反対・慎重論相次ぐ(WSJ)

毎日JP
秘密保護法案:福島で地方公聴会 原発情報に懸念
毎日新聞 2013年11月25日 11時45分(最終更新 11月25日 13時03分)

衆院国家安全保障特別委員会は25日午前、特定秘密保護法案に関する地方公聴会を福島市内のホテルで開いた。意見を陳述した地元関係者からは、東京電力福島第1原発事故の後、政府から迅速な情報提供がなかったことを踏まえ、原発事故に関する情報が特定秘密に指定されるのではないか、などの懸念が示された。

原発事故の影響を受けている福島県浪江町の馬場有(ばば・たもつ)町長は「浪江町民は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が非公開だったため(放射性物質が飛散した方向に)避難してしまった。いち早く情報が公開されていれば、低線量被ばくを避けることができた」と指摘。そのうえで、SPEEDIなど原発事故情報が特定秘密に指定される可能性への懸念を表明した。

また、同県弁護士会の槙裕康(まき・ひろやす)副会長は「(国会審議での)政府の説明が二転三転している。法律が動き始めたらどうなるか分からない。この法案はいったん廃案にすべきだ」と語り、法案審議への不信感をあらわにした。

桜の聖母短期大学(福島市)の二瓶(にへい)由美子教授は「秘密拡大が危惧される。国会が議論の場でなくなるのではないか」と懸念を示した。弁護士の荒木貢氏は「法案は国民のプライバシーを広範に侵害する」などと主張。ほかに、いわき市議ら計7人が意見を述べた。

地方公聴会をめぐっては自民党は海上自衛隊の基地などがある神奈川県横須賀市での開催を提案したが、民主党は原発事故が起きた福島県内で開くよう要求。最終的に、与野党とも福島市で開くことで合意した。

与党側は地方公聴会の開催で法案を衆院で採決する環境が整ったとして、26日にも同法案を衆院通過させたい意向だが、野党側は慎重審議を要求。民主党と日本維新の会は地方公聴会だけでなく、中央公聴会の開催も求めており、衆院の採決日程をめぐる攻防が一層激しくなっている。【木下訓明】

【ことば】公聴会

政府の予算案や重要法案の国会審議で、衆参両院の各委員会は公聴会を開き、利害関係者や学識経験者から広く意見を聴く。国会法51条で規定されており、公述人を国会に呼ぶ中央公聴会と、各委員会の委員を地方都市に派遣して意見聴取する地方公聴会がある。予算関連法案などでは公聴会の開催が義務づけられている。


朝日新聞
特定秘密保護法案 福島での地方公聴会・発言要旨
2013年11月25日14時07分

衆院国家安全保障特別委員会が25日、特定秘密保護法案について福島市で開いた地方公聴会での意見陳述者の主な発言は次の通り。

■馬場有(たもつ)・福島県浪江町長

(東京電力福島第一原発事故の際)SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が適切に公開されなくて、町民の避難に生かせなかった。法案は(特定秘密の)範囲が非常に広くて明確ではない。秘密にするのではなく情報公開をすることが一番大切だ。現在の状況を見ると、慎重な対応をしながら十分に国民のために論議を尽くすことが大切だ。

■槇(まき)裕康・福島県弁護士会副会長

何を秘密にするかわからない仕組みなので、秘密は拡大の一途をたどる。事故が起きれば「原発に関連する情報は特定秘密にあたる可能性がある」と情報を持っている当事者が考え、萎縮効果により、適切に開示されない恐れが十分ある。事故の教訓に鑑み、特定秘密を指定し重要な情報を秘匿する方向ではなく、情報公開を積極的に進める法制度が重要だ。

■二瓶由美子・桜の聖母短大教授

短大生と震災を経験し、ここで若い女性たちを教育してよいのか思い悩む日々だ。この状況で何より求めるのは情報の公開だ。法案で特定秘密の指定の拡大が危惧される。パブリックコメントは77%が反対だった。法案はストップをかけてください。民主主義を揺るがす今回の手続きについてはもう1度考えていただきたい。

■名嘉(なか)幸照・東北エンタープライズ会長

現場の技術者として福島第一、第二原発に携わってきた。原発労働者は安全性を知る立場にあっても、家族でも話せない。そういう環境が長年続いた。原子力の安全神話を生み、取り返しのつかない事故につながった。国会の皆さん、福島を忘れないで下さい。

■畠中信義・いわき短大特任教授

確かに国防や外交は政府の専権事項だが、国民が知らずして「秘密、秘密、秘密」で秘匿されれば、どうやって公益を図れるのか。それが一番の問題だ。

■荒木貢・弁護士

法案が通れば、原発問題まで軒並み秘密指定される可能性が高い。国民は何が特定秘密として指定されているのかされていないのか知り得ない。法に抵触するとなれば厳罰を免れず、恐怖心は萎縮効果をもたらす。全国の多数の国民が反対している。私も断固反対だ。

■佐藤和良・福島県いわき市議

原発に関する情報が特定秘密として秘匿され、市民の安全に関わる情報が非公開になると、国民の基本的人権を侵害する結果を生む。反対、廃案を求めるのが国民の圧倒的な声だ。慎重の上にも慎重に審議を重ね、全国で公聴会を開催し、国民の声を聴いて頂きたい。




























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