朝日新聞 天声人語 2013-11-27
(略)
・・・与党は特定秘密保護法案を衆院で強引に可決した
▼安倍政権の本来の性格がはっきり出てきたというべきか。保守といっても様々である。古きよきものを守りつつ、世の変化には柔らかについていく。それが穏健保守とすれば、この政権は変えることにあまりに熱心で、あまりに急進的だ
▼憲法をつくりかえ、道徳教育を強化し、保秘の仕組みを整える。近隣諸国とのつきあいを見直し、歴史認識を改め、戦後体制(レジーム)から脱却する。ほとんど革命に近い大なたを振るいたがっているかのように映る
▼そう、これは革命なのだというのなら、保守の看板は下ろした方がいいのではと申し上げるほかない。きのうの暴挙を有権者はどう考えるか。安全運転と決別した政権の先行きは平坦(へいたん)ではあるまい
▼老子は〈強大は下(しも)に処(お)り、柔弱は上(かみ)に処る〉ともいう。強く大きなものは実はこわばっていてもろい。柔らかくてしなやかなものが本当は強い。民よ、諦めるなとの叱咤(しった)にも聞こえる。
(おわり)
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