(テレビ東京「美の巨人」2015-09-26放映より)
別途、堀田善衛『ゴヤ』を読み進めているので、その理解を深めるための補強的知識として。
尚、堀田さんの上記著作にはこの『村の結婚式』は取り上げられていない。
▼ゴヤが画家として出世するにあたって、カルトン制作を担当したことが大きなステップボードとなった。そのカルトンを、ゴヤは20年間に63枚描いた。
▼代表的なカルトンの作品
▼代表作『日傘』
当時のマハとマホ。退屈した貴族たちのの憧れであったとか(貴族の頽廃の極み)。
▼カルトンがタピスリーに織り上げられると、画の構造は逆転する。
▼さて、『村の結婚式』(ゴヤのカルトンの最後の作品)
カルトンは国王カルロスが民衆の日常の姿を描くように命じたもので、この『村の結婚式』は結婚式の滑稽さがテーマになった。
多分、ゴヤが描いたグロテスクで金持ちそうな男と若くて美しい女性の不釣合いさは、確かに笑いを誘ったであろう。男は娘を離すまいとしっかり袖をつかまえている。
▼しかし、ゴヤは、笑いを通じて理不尽な社会を訴えようとした。
教会の司祭の好色な笑いと花嫁の父の苦しげな表情。
当時は、初夜権というものが存在していた。
領主は土地の所有者であり、その土地に暮らす人々も所有者物と見なされていた。
何故、結婚式の行列はアーチ状の橋の上を通らずに、下を通っているのか?
この橋は、完成品のタピスリーが置かれるエスコリアル宮を暗示し、このことでゴヤは頽廃し崩壊しつつあるスペイン王室を批判している。
(ちょっと苦しい飛躍かも?)
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