五月の風は 茨木のり子
一年の歳月を耐えしのんでいたものが
いっせいに花びらく眩しさ
五月の風は
なぜか私を羞恥にそめる
人間のつくるものは
鼻唄まじりどうしてこんなに雑なのだろう
ひとむらの
わすれなぐさの花のいろ
それさえ長い月日をかけて水色に咲きこぼれ
ちり紙のように使いすてた
わたしの一日一日は
蕉風のなかにひらひらあらわれ
みっともなく照れている
「スクラップブック」から
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