西日本新聞
生活保護受給者が勝訴 北九州市の返還処分取り消し
2014年03月01日(最終更新 2014年03月01日 01時54分)
生活保護を受給している北九州市八幡東区の柳田伸さん(65)が、生命共済から支給された入院給付金のうち、必要経費以外は収入に当たるとして返還処分を決めた市の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は28日、「市の判断は裁量権の逸脱、乱用があり違法」として原告の訴えを認め、市の処分を取り消した。
弁護側は「自立更生のためには入院経費以外にエアコンなどの購入費が必要だが、市は考慮していない」と主張していた。判決理由で平田豊裁判長は、柳田さんには心機能障害や糖尿病の持病があり、夏場にエアコンがなければ病状が悪化するリスクがあると指摘。「エアコン購入はやむを得ず、自立更生に必要な費用は返還額を決める上で重要にもかかわらず、市は考慮せずに額を決めており、合理性を欠く」と判断した。
判決によると、柳田さんは2007年に生命共済に加入し、08年から生活保護を受給した。市の了解の上でその後も生命共済の加入を継続。市は11年に、男性が受け取った給付金計約77万円のうち、必要経費を除いた約70万円の返還処分を下した。北九州市は「判決を精査し、厚生労働省と協議の上、対応を検討する」とコメントした。
=2014/03/01付 西日本新聞朝刊=
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