現代ビジネス 2014年03月26日(水) 磯山 友幸
磯山友幸「経済ニュースの裏側」
20ヵ月連続で貿易赤字。もはや「円安で製造業復活」は幻想だ
(略)
■「円安で製造業復活」は幻想だった
そんな中で、注目すべきは自動車の輸入だろう。
円安にもかかわらず、台数ベースで3.4%増加し、金額ベースでは19.5%増の1兆857億円となった。金額ベースでは輸出額の10%、台数では6%に相当する。
単純に台数と価格の比率を見れば、輸入している自動車の方が高価格な高級自動車ということになる。しかも価格が上昇してもユーザーが離れていないことを示している。
円安にもかかわらず、輸出額があまり増えず、輸入額の方が大きく増えるのは、輸出入の決済通貨が、輸出では円建ての割合が増えているにもかかわらず、輸入はまだドル建てが多いこともある。
輸出産業は円高による企業業績への影響を小さくするために、円建て輸出への転換を進めてきており、日銀の統計によれば、輸出の3割が円建てになっている。一方、中東産油国の原油やLNGは国際相場がドル建てということもあり、ドルに連動した決済価格体系になっているケースが多い。
いずれにせよ、円安になれば日本の製造業が復活し、貿易黒字を大きく稼ぐというストーリーがもはや幻想になっていることだけは間違いなさそうだ。
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