東洋経済オンライン
麻生氏は、なぜこうも”お粗末”なのか
グローバルエリートが麻生副総理に喝!
ムーギー・キム :プライベートエクイティ投資家 2013年08月02日
グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
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私は麻生さんが別にナチスを賛美しているとは思わないが、発言全部を読んでも憲法改正の手法をナチスに学ぼうと明確に発言しているのは確かだ。また憲法を変えるという重大無比で、本来ならば徹底的な議論と透明性と国民の理解が前提となる作業を、国民の支持が得られないのでこっそり強行できるようにしよう、という恐ろしい意図が感じ取れる。これらの発言に対し「誤解を招いたのなら撤回する」という苦しい釈明は、橋下徹氏の従軍慰安婦発言を“誤解・メディアの誤報”と強弁した不誠実な幕引き方法を髣髴とさせる。
なお橋下氏は麻生氏の発言を擁護するためか、“行き過ぎたジョーク”と言っているが、ナチスの賛美ともとらえられかねないジョークも大問題であり、全然擁護になっておらず失笑を誘った。
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麻生氏はなぜ権力の中枢に居座り続けられるのか
さすがにこのレベルの暴言が続くと、麻生氏が首相や財務大臣、副総理を歴任するほどの能力や人格を持ち合わせていないのは確度100%のことだと思う。しかしなぜこんな麻生氏があらゆる場面で、権力の中枢に居続けることができるのだろうか。日本は優秀で賢い人格者がいくらでもいる人材大国なだけに、麻生氏に限らず権力者の極めて低い資質は、大変不思議である。やはり利権と支持基盤が世襲される、政界独特の参入障壁のおかげだろうか。
以前、某政府関係者に、麻生氏の適性について聞いてみたところ、「麻生さんは金持ちだというのが確実に影響していて、たとえば1000万円を包んで持ってくる人はたくさんいるだろうが、そういったおカネは絶対に受け取らない」と言っておられたので、金銭問題で足を引っ張られる可能性がないのは一つの強みなのだろう。
また数がモノを言う政治で力が強いのも確かである。安倍政権にとってチームメンバーの資質を問うべき筆頭候補が麻生氏だと思うのだが、安倍氏は泡沫候補だった総裁選で麻生氏のグループなど幅広い政治家の支援を取り付けて票を集めたので、麻生氏がいかに迷惑な存在だったとしても、麻生氏の顔色を窺わなければならない。
たとえば麻生氏のこの発言は安倍氏の悲願である“変憲と再軍備”に冷や水を浴びせるわけだが、麻生氏がすごいのはおそらく周囲に散々失言に気を付けるように言われ続けているだろうに、いまだにメガトン級の失言を繰り返してくれるところだ。
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麻生氏の今回の発言と責任なき幕引きは、実は麻生さん自身の深刻な欠陥を物語るのみならず、なぜ日本ほどの大国に、この程度の政治家しかいないのか、というより本質的な問題を突きつけている。
金持ちでも“天才”でいられる秘訣とは
麻生さんのように金持ちと政治家に囲まれた極めて恵まれた環境に育ちながら、これだけ品と知性がない人物に見えるのは、それはそれで世界ふしぎ発見のネタになるのだが、今回のナチス発言のようにユダヤ人社会や欧米社会からも唾棄されるような失言で国の威信を傷つける麻生氏は、国粋色の強い右派やネトウヨの皆さんからも見放されていいレベルだと思うのだが、いかがだろう。
橋下氏にも共通しているが、自分が話している内容が国際的にどう重大に受け止められるか、というセンスがこれだけ長年政界にいても欠如しているのだから、これはある意味天才である。
経済政策に関しても、セメントで稼がれたご実家の影響だろうか、財政拡大のハナシをなんやらの一つ覚えみたいにしている印象がある。確かに財政拡大で公共投資を高めれば建設業界やセメント会社に国民のお金が移動するので、御周辺のセメント業界は潤うだろうし、ご自身への支持基盤は固められるだろうが、その他への影響に対する深慮遠謀のなさは、ナチス発言に対する浅はかさとの共通点を感じる。
私は人をバカだというのは好きではないし、個人がバカなのは罪ではないが、一国を代表し、指導し、国益を増進する立場にある人間がバカであるのは犯罪だと思っている。
麻生氏は犯罪的失言を直ちにやめ、日本のためにご自身だからこそできる付加価値は何なのか真摯にお考えになられることをお考えいただきたい。そしてその答えが賢明にも私の仮説である“口をつぐむこと”であれば、自主的に恥を知って公職をお退きいただき、秋葉原で漫画を読むなり、ご自宅で漢字を勉強されるなり、ご自由に余生をお楽しみいただきたい。
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