2014年2月22日土曜日

【NHK会長や百田氏の発言めぐり】 空回り続く国会審議 NHK内部に批判の声も (47トピックス)

47トピックス
【NHK会長や百田氏の発言めぐり】 空回り続く国会審議 NHK内部に批判の声も

 NHKの籾井勝人 (もみい・かつと) 会長の失言や経営委員の百田尚樹 (ひゃくた・なおき) 氏の言動をめぐる国会審議は、質疑がかみ合わず空回りが続いている。批判のボルテージを上げる野党に対し、籾井会長は「コメントは差し控えたい」と繰り返すばかり。問題は長期化の様相を呈しており、NHK内部からも籾井会長を批判する声が漏れ始めた。

 ▽議事録

 20日の衆院予算委員会集中審議。民主党の大串博志氏は、籾井会長が従軍慰安婦などをめぐる失言を撤回した後の12日の経営委員会で「どこが悪いのか」という趣旨の発言をしたと報じられたことについて、真偽を厳しく追及した。

 「まだ経営委の議事録は公表されていない。一部だけ申し上げると内容が不正確になる」とかわす籾井会長に、「自分の発言を正確に言えない人がいるのか」といら立ちを隠さない大串氏。議事が一時ストップする事態となった。

 質疑では百田氏らの発言で米大使館がケネディ大使のインタビューに難色を示している問題も取り上げられた。籾井会長はここでも「取材、制作の過程については答えを差し控える」と同じ答弁に終始。議論は一向に進展しなかった。

 ▽国会軽視

 「こんなことは初めてだ。放送法の精神を分かっているのか」。事実関係の確認さえ応じない籾井会長に、民主党の原口一博元総務相は声を荒らげた。原口氏は質疑後「異例の国会軽視だ」と憤慨。社民党の又市征治幹事長は記者会見で「籾井氏を罷免すべきだ」と主張した。

 民主党は近く、NHKの会長や経営委員の公正・中立性を疑われる言動を防ぐ規定を盛り込んだ放送法改正案をまとめる方針だ。ほかの野党と共闘関係が築けるかが、今後の鍵となりそうだ。

 与党には籾井会長の言動に対する懸念がくすぶる。官邸と距離を置く自民党幹部からは「(答弁態度は)かなり印象が悪い」と厳しい声が飛ぶ。籾井会長は18日に党総務会で陳謝したが、別の党幹部は周囲に「党が許したと勘違いしないでほしい」と苦言を呈した。

 公明党幹部は「野党は外交や経済で政府を攻めあぐねている。問題を長期化させたいのだろう」と述べた。

 ▽信頼失墜

 NHKによると、籾井会長の発言に対する批判的な意見は19日夕までで約1万1300件に上る。視聴者の不信感は日ごとに強まっている。

 あるNHK幹部は「放送総局全体が会長と距離を置き始めている」と話し、組織がきしんでいることを嘆く。

 予算委でNHKの現状を問われた 浜田健一郎 (はまだ・けんいちろう) 経営委員長は「経営委と執行部が車の両輪になって経営にまい進すべきだが、諸対応に追われかじ取りに専念できない」と険しい表情で語った。

 NHKの受信料は4月から消費税増税に合わせて値上げされる。2014年度の予算と事業計画の国会承認が必要で、籾井会長らの発言は国会で再び取り上げられる可能性が高い。堂々巡りの質疑が続けば、取材現場への影響が広がりかねない。

 元NHK政治部記者で、椙山女学園大の 川崎泰資 (かわさき・やすし) 理事は「そもそも会長として公言した以上、内容を取り消せるわけがない。(籾井会長の)国会答弁がNHKの信頼を失墜させ続けており、会長は辞めるしかないのではないか」と指摘した。

 (共同通信)
2014/02/21 15:31

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