ゲンダイネット
欧米メディアが次々に酷評 アベノミクスの「ジ・エンド」
2014年2月17日 掲載
年明けからの株価低迷や過去最大の貿易赤字といった悪材料を受け、ついに欧米でも「アベノミクス」離れが加速している。安倍首相を強力なリーダーだとチヤホヤ持てはやしていた昨年までとはエライ違いだ。
■WSJ「安倍は韓国に学べ」
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は13日、「安倍首相は韓国経済に学べ」という社説を掲載した。その中身は安倍の経済政策の“酷評”といっていい。アベノミクスについて<円安(誘導)や時代遅れの財政刺激策で構成されている>とした上で、韓国企業はウォン高にもかかわらず国際市場で競争力を高めていると指摘。<アップルのライバルは日本企業ではなく、(韓国の)サムスン電子だ><韓国は戦後の日本の輸出主導モデルに従って工業化を果たした。かつての教師が生徒から教訓を学ぶ時が来た>とまで言い放った。
WSJが社説でアベノミクス批判を唱えたのは、今回だけじゃない。1月28日には「貿易赤字の教訓―現実から乖離するアベノミクス」と題して<円安は輸出を促進し、これが企業の設備投資と賃金を促し、それによって国内消費が活性化されるはずだった。だが、この連鎖は実現しなかった>とバッサリ。今月4日にも「アベノミクスに懐疑的な見方が広がる株式市場」という見出しで、投資家が安倍政策を批判的にとらえ始めたと書いたのだ。
投資家の厳しい視線については、14日のロイター通信にも同様のコラムがあった。年明け以降の海外投資家の日本株売り越しについて<その本音を探ると、日本株やアベノミクスに対する「関心度合いの低下」や「飽き」にたどり着く>と分析していた。
■挑発的な靖国参拝が決定的要因
欧米メディアや海外投資家の手のひらを返したような態度はなぜなのか。
英誌エコノミスト元編集長のビル・エモット氏は、日経ビジネスオンラインのコラムで、「世界が憂う『アベノミクス』の行方」と題して興味深い解説をしていた。
<過去1カ月ほどで、2014年に安倍首相と彼のリーダーシップの下で日本が果たすであろう役割への楽観と称賛は、懸念と苛立ちに変わった。この心変わりには、いくつかの理由があるが、決定的な要因は安倍首相による故意に挑発的な靖国神社参拝だ>
<安倍氏が首相になった時、多くの外国政府や海外投資家は彼の国粋主義的な態度を黙認した。アベノミクスに必要となる自由化改革に役立つと考えたからだ。しかしその黙認にも限界がある>
欧米事情に詳しいジャーナリストの堀田佳男氏もこう言う。
「靖国参拝を契機に、米ワシントンには、<安倍首相は日米同盟を危機に陥れる可能性があり、人間として信用できないリーダー>という見方が広がっています。それが3本目の矢である『成長戦略』で満足な回答が出てこないことと相まって、投資家の間にも安倍首相やアベノミクスに対する否定的なイメージが強まっているのです」
右傾化を強める安倍自身が、アベノミクスの足を引っ張っているとは、皮肉である。
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