日経新聞
雇用改善、正規採用につながらず 非正規従業員比率最高
2014/1/31 21:00
景気回復を受けて雇用は改善してきているが、中身をみると非正規比率が伸び、正社員としての採用に必ずしもつながっていない。
アベノミクスをきっかけに始まった景気回復を軌道に乗せるには、より所得が高く雇用の安定した正社員の採用も増えるのが理想。非正規労働者は正社員に比べ所得が低く、受けられる社会保障サービスも薄い。教育や訓練を受ける機会が少ないためノウハウや技術が高まらない問題もある。
厚生労働省によれば、自動車関連の多い東海地方で正社員の採用を増やすよう求めたところ「まず期間工をとの反応だった」という。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「円安効果が一巡し消費増税を控えるなか、企業が景気回復の持続性に確信が持てないためではないか」と分析する。
もちろん、雇用は経済の遅行指標。景気回復の効果はまず、非正規雇用の増加に表れ、遅れて正社員に波及するのが一般的だ。足元で正社員の数が増えていなくとも、1年後、2年後に増加してくる可能性はある。ただ、企業がなお慎重姿勢を崩していないとすれば、成長戦略の実行などを通じて、企業に安心感を与える必要がある。
脱デフレを目指す日本経済にとって、雇用の本格回復への道筋作りは賃上げと並ぶ重点課題となる。(武田敏英)
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