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米核施設で汚染水漏れ 長崎原爆の原料を製造
【ロサンゼルス共同】米西部ワシントン州政府は15日、同州のハンフォード核施設で、放射性廃液を貯蔵する地下タンクから汚染水が漏れ出しているのが確認されたと発表した。ハンフォード核施設は長崎に投下された原爆のプルトニウムを製造したことで知られる。
州政府は「周辺住民の健康に直ちに被害が出る恐れはない」としている。ただAP通信によると、15日記者会見したインズリー知事は、長期的には地下水が汚染される可能性があるとして強い懸念を表明した。
州政府が米エネルギー省から受けた連絡によると、177基の地下タンクのうち1基で、1年間に約570~1140リットルが漏れているという。
2013/02/16 10:49 【共同通信】
日経サイエンス 1996年7月号
迷走するハンフォードの核廃棄物処理
G.ゾーペット(Scientific American スタッフライター)
米ワシントン州の南東部にあるハンフォードはプルトニウム製造施設の集合体であり,第二次世界大戦で長崎に投下された原子爆弾の原料となったプルトニウムを作ったことで知られている。冷戦の終結を受けて1989年にエネルギー省(DOE)は,ハンフォードの諸施設の解体と除染を開始した。作業が必要な場所は約1400カ所あるといわれる。これらの場所のうち,数百カ所については,すでに液体と固体の廃棄物が計画的に捨てられていた。
除染作業がどのように進んでいるかを知るために,Scientific American誌は関係方面を集中的に取材した。その結果,以下の事実をつかんだ。
・地区内には,高レベル放射性廃液の地下貯蔵槽が177基あり,漏洩しているものも,熱を帯びているものも,引火性の気体を発生しているものもある。
・少なくとも12トンの危険なプルトニウムが,土壌中か,あるいは不安定な状態で放置されている。
・使用済み燃料からプルトニウムを抽出したため,ひどく汚れた巨大な5つの建物がある。
・2100トンの使用済み燃料がプールの中に沈んでおり,地震が発生した場合,致命的な放射能のごみ箱となるだろう。
DOEは過去7年間,ハンフォードの除染に75億ドルを費やし,今後40年間,毎年少なくとも10億ドルの支出を見込んでいる。州,DOE,環境保護局(EPA)の3者は協定を結び,共同作業を何とか始めたが,作業計画の作成や作業の優先順位の設定は遅れている。さらに,この協定が2つの重要な環境関連の法律の二重運用を定めていることが事態をますます複雑にしている。高レベル放射性廃液のガラス固化は一層やっかいである。DOEは,ガラス固化を引き受けてくれる企業を探している。これらの問題解決を左右するのは最終的にはカネであるが,DOEの予算は年々減らされている。
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