2014年4月10日木曜日

BLOGOS 著者インタビュー『日本人はなぜ存在するか』(與那覇潤) : 「保守的な政治家がよく掲げる〝伝統的な家族観〟は、実際には明治民法によって作られた、日本史上で数十年程度の生命しか持たなかった家族のイメージです。」

BLOGOS
WEB第三文明2014年04月04日 11:36
著者インタビュー『日本人はなぜ存在するか』 
愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授
與那覇 潤

 著書『日本人はなぜ存在するか』で示した再帰性の観点が、ナショナリズムが台頭しつつある今の日本になぜ必要なのか。與那覇氏に話を聞いた。

――著書『日本人はなぜ存在するか』のテーマである「再帰性」の考え方はなぜ必要なのでしょうか。

(略)

・・・。特に日本人は、独立宣言のようなものを発して国家を「人為的」に創出するという経験が乏しかった分、日本という共同体を「自然に存在している」自明のものだと疑わない傾向がありますから。「単一民族国家」といった意識も、その表れでしょう。

(略)

――日本でのナショナリズムの台頭を、再帰性の観点ではどう捉えますか。

(略)

保守的な政治家がよく掲げる〝伝統的な家族観〟は、実際には明治民法によって作られた、日本史上で数十年程度の生命しか持たなかった家族のイメージです。小家族のイエという生活形態が一般の農民にまで普及したのは江戸時代ですが、当時は、たとえば夫婦同姓は別に絶対の原則ではありません。近代になるとヨーロッパから一夫一婦制や家族愛イデオロギーが入ってきて、さらには教育勅語に典型的な、国家による(もとは中国原産の)儒教道徳の普及が起きる。

(略)




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