2014年5月17日土曜日

解釈改憲・集団的自衛権 : 情緒的な首相会見 担当記者の見方 (『朝日新聞』2014-05-16) / そもそも集団的自衛権の本質は他国防衛の戦争に参加することだ。にもかかわらず、「日本人の命を守る」を繰り返すばかり。いくつも想定される集団的自衛権に関わる事例をあえて一つに絞った。まるでこの事例に限定されると誤解を与えるものだった。ある政府高官は「本質的な事例を隠したのでは」と問われると「間違いなくそう批判されるだろう」と漏らした。

情緒的な首相会見
担当記者の見方
(『朝日新聞』2014-05-16)

 15日の安倍晋三首相の記者会見は極めて情緒的だった。首相は、邦人輸送中の米輸送艦防護の想定事例について、熱弁を振るった。

 「まさに紛争国から逃れようとしている、お父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない。彼らが乗っている米国の船をいま、私たちは守ることができない」

 隣のパネルには、赤ちゃんを抱きかかえた母親に不安そうな表情で後ろから寄り添う子どものイラスト。テレビで会見の様子を見ていた政府関係者は「感情的だった。そもそも首相の理念である『戦後レジームの脱却』が出発点だから、真面目な安保論じゃない」。

 そもそも集団的自衛権の本質は他国防衛の戦争に参加することだ。にもかかわらず、「日本人の命を守る」を繰り返すばかり。いくつも想定される集団的自衛権に関わる事例をあえて一つに絞った。まるでこの事例に限定されると誤解を与えるものだった。ある政府高官は「本質的な事例を隠したのでは」と問われると「間違いなくそう批判されるだろう」と漏らした。
                                    (園田耕司)
安倍首相の記者会見は、司会を長谷川栄一内閣広報官が務めた。通常20分だが、今回は首相自身の強い希望で30分の長さになった。冒頭16分ほど首相が発言。事前に内閣記者会の幹事社2社が用意した質問の後、記者4人が質問した。


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