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「731部隊」展示撤去 京大医学部資料館
京都新聞 5月20日(火)8時29分配信
2月に完成した京都大の医学部資料館(京都市左京区)で、戦時中に同大学の医師が関与して細菌兵器を開発していた旧日本軍731部隊を説明する展示パネルが、すぐに撤去されていたことが、19日分かった。
資料館は「通常の展示替え」としているが、他に展示が変更されたのは所有者から使用要請があった医療器具などわずかで、「負の歴史と向き合う展示と評価していたのに、撤去には驚いた」と疑問の声が出ている。
同資料館は、旧解剖学講堂を改修した基礎医学記念講堂内に併設。野口英世の博士論文など、医学部ゆかりの資料約50点が並ぶ。予約制で見学者を受け入れている。
731部隊の展示は2008年刊の「京都大医学部病理学教室百年史」から引用したパネル2枚。部隊長の石井四郎ら医学部出身者の関わりを、文献を示して解説。731部隊の「発祥の主たる舞台となった京都大学医学部としても検証が必要なのでは」と指摘していた。同資料館の管理担当者によると、完成記念式典の後ほどなく撤去したという。
当初は「表現が不適切との声があったため」と説明していたが、後に「個人的な感想を述べただけ」と改め、「見やすいよう全体的な展示内容を考慮して入れ替えた」と話している。
パネルを再展示するかは未定という。
医師の戦争責任について訴えてきた京都府保険医協会の垣田さち子理事長(66)は、「あまりに撤去が早すぎ、隠蔽(いんぺい)を疑う。戦争中の行為を知らないままでは済まされず、学ぶ機会が失われ残念」としている。
■731部隊 旧関東軍防疫給水部の通称。部隊長は石井四郎で「石井部隊」とも称される。1936年に発足、中国東北部のハルビン郊外に本部を置き、極秘に細菌戦を研究した。「マルタ」と呼ばれる中国人らの捕虜で人体実験を行い、ノミを使ったペスト菌散布など細菌兵器の開発などを進めたとされる。
最終更新:5月20日(火)9時39分京都新聞
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