ロイター
アングル:妻の自殺は誰の責任か、原発訴訟が示す福島の静かな危機
2014年 07月 13日 08:44
[川俣町(福島県) 10日 ロイター] - 東日本大震災発生から3年以上が経過したが、今も増え続ける「震災関連死」。震災から約4カ月後に自殺した女性の夫が東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)を訴えている裁判は、来月下旬に福島地方裁判所で判決が下される。
男性は、自殺は福島第一原発事故で避難生活を強いられたことが原因だと訴えている。原発事故の関連死として東電の過失が認められれば、同社に対する他の損害賠償訴訟にも影響を与える画期的な判決になり得る。
2011年7月、渡辺はま子さんは避難先から自宅に一時帰宅した際に焼身自殺をした。遺書は残されていない。だが、夫の幹夫さん(64)は、自殺は福島第一原発を運営する東電に直接責任があると主張。「自殺に至った経緯で、東電側に(責任が)一切ないという、そんな話はないと思う。あの事故さえなければここで平凡な暮らしができたのだから」と語る。幹夫さんは約9100万円の損害賠償を東電に求めている。
福島県では当初、同原発事故で15万人以上が家を追われ、その3分の1が仮設住宅での生活をいまなお余儀なくされている。幹夫さんもその1人だ。
東電はこれまで、裁判外紛争解決手続き(ADR)を担当する国の原子力損害賠償紛争解決センターを通して、自殺したケースを含む原発事故関連死の賠償問題を解決してきたが、その件数や賠償額など詳細については明らかにしていない。
政府が同センターで和解に至った原発事故関連死として公表しているのは25件、賠償額は1600万円を超えるケースもあったとしている。だが毎日新聞は先に、同センターが避難中に死亡した人の遺族に支払う慰謝料をほとんどのケースで半額にしていたと報じた。
東電は幹夫さんのケースも含め、係争中の訴訟についてはコメントできないとしている。
(以下略)
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