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派遣社員逮捕で検証すべきは「働き方」
水島宏明 | 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター
2014年7月17日 11時51分
(略)
今の政府は、労働者派遣法で規制緩和路線を取っているけれど、実は派遣労働の拡大でこうした個人情報の保護をどうするかという視点はまったく議論の対象にさえなっていないのが現状だ。
それだけない。
今回の逮捕状が出ている容疑者。
派遣社員というだけでなく、仕事がSE(システムエンジニア)だという点もポイントだ。
正社員であってもSEという仕事は、長時間の一人作業の労働が多く、かつ、精神的にうつなどの病を発症する場合が少なくない、というのが筆者が「ブラック企業」の問題などを取材してきた実感だ。
SEをたくさん雇用する職場は一般的にいわゆるブラック企業が少なくない。
もうじき、容疑者が逮捕されて、その素顔や所属企業名が報道で明るみに出るに違いない。
その報道では、ぜひ容疑者の「働き方」にも注目して、各社の報道をチェックしたい。
犯罪の背景には、必ず「働き方」の問題がある。
それをぜひ明るみに出してほしい。
(こういう原稿を書くと、必ずと言ってよいほど、「派遣だから、罪を犯していいのか?」とか「派遣社員がみんな犯罪者になっているわけではない」と言って、働き方の議論をしようとしない人が出てくる。秋葉原事件でも結局そうした議論になって、国民全体としては議論の深まりはなかった。私は「働き方」が犯罪の唯一無二の理由だと言っているわけではない。「要因のひとつ」であるのかないのかを検証する必要があると言っている。見落とされがちな「働き方」の問題や社会全体の流れを頭に入れて事件を見ようとしないと、事件をその当人が犯した問題として片付けて「思考停止」に陥ってしまう。そのことが何より恐い。)
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