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日経平均をドル建てで見るってどういうこと? 正しい見方なの?
THE PAGE 2014/10/16 07:00
ネットのブログなどを中心に、ドル建てで見た時の日経平均が下落基調になっていることについて話題になっているようです。日経平均をドル建てで見るというのはどういうことでしょうか。
ここ数日、米国株の急落を受けて、日経平均も下落が続いていますが、5月以降、日経平均は基本的に上昇基調が続いていました。日本経済の見通しに対して強気の人は、日経平均が上昇しているのは、日本経済が順調に回復している証拠であるとしています。
一方、ドル建てで見た場合の日経平均はむしろ下落しており、上昇とはいえないと主張している人もいます。ドル建ての日経平均株価とは、日経平均の価格にドル円の為替レートを適用し、ドル・ベースでの価格に修正したものです。ドル円相場は7月以降、急激に円安ドル高が進んでいます。このためドルから見た日経平均は、仮に株価が変わらなかったとしても下落していることになります。
実際、日経平均をドル建てで見ると、5月から7月までは順調に上昇していますが、その後ダラダラと値を下げています。一方、円建ての日経平均は円安の進展にペースを合わせる形で上昇が続いていました。つまり、ドル建ての日経平均は円安による上昇分がすべてなくなっており、すでに下落に転じていたと解釈することができます。
日経平均を円建てとドル建てで比較するという考え方は、かなり以前から存在しており、市場関係者や経験ある個人投資家の中ではごく当たり前のものです。日本の株式市場は、ニューヨークやロンドンと並ぶ世界的な市場でしたが、日本の国力低下に伴い、現在では世界における主要市場とは見なされていません。日本人で株取引をする人も少なく、日本の株式市場での売買の7割が、短期的な利益を狙う外国人投資家で占められているのが現状です。したがって、米国株式市場の動きを軸に相場を分析した方が、より正確に状況を把握できるのです。
株式投資で勝てる個人投資家は非常に少なく、1年から2年でかなりの数の投資家が入れ替わるといわれています。市場には、常に新しい投資家が参加してくるため、このようなドル建ての日経平均といった古典的な話題でも、新しく入ってきた投資家には新鮮に聞こえるのかもしれません。
現在、世界経済全体は減速傾向にあり、欧州、日本、中国の減速が特に著しいというのが世界的に共通した見方です。今のところ米国経済だけが堅調ですが、これだけ各国の状況が悪いと、米国も足を引っ張られる可能性があります。日本の製造業は基本的に米国市場に依存していますし、円安による輸入物価の上昇で個人消費も冷え込んでいます。グローバルな視点で考えるのであれば、日経平均だけが継続して上昇するような環境にはないと考えるのが自然でしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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