2017年3月27日月曜日

森友問題の謎を解くカギ・・・官邸内のメカニズムを知る必要 (江田憲司 HuffPostJapan) ; そこには「忖度」を超えた、安倍夫人、あるいは政務秘書官ら総理秘書官の直接的な指示、命令があったことも推察されます


 (略)

①・・・本来、縦割りで連絡も悪い役所(近畿財務局、大阪航空局、大阪府)同士が、しかも「前例踏襲」でリスクを冒さない役所が、まるで示し合わせたかのように、籠池氏の要望にこたえて、開校時期にあわせて、とんとん拍子で手続きを進めている。ありえないことで、そこには大きな政治的な力が働いていたとみるのが普通でしょう。

②外から見れば「総理夫人」は、どうしても総理の「分身」あるいは「代理」とみられます。少なくともその背後に総理の影を見る。そんな総理夫人が通常、一私企業、一私学に加担することはありえません。「総理夫人」の肩書、その信用力は抜群ですから、その結果、当該一私企業、一私学に大きな利益、利得を与えかねないからです。その意味で、いずれにせよ、本件における安倍昭惠夫人の道義的政治的責任は極めて重いと思います。

私が橋本龍太郎政権で「夫人担当」の政務秘書官をしていた時も、久美子夫人がどんな行事に出て、どこに祝電を打つか等々は常に相談を受けていました。・・・

③この問題では、その一私学に、昭惠夫人は3回も講演等に行かれ、児童募集のパンフレットに写真付きでメッセージを寄せ、名誉校長にも就いていた。更地の校地予定地の視察もしていた。そして、それを見事に寄付金集め等に利用されている。脇が甘かったという程度の話ではないのです。

加えて、幼稚園で感涙する昭惠夫人のビデオが流れましたが、そこに政府職員が同行していたことも判明した。そこで「瑞穂の国小学院で何かお役に立てることがあれば」と言った昭惠夫人の思いを、その職員が関係方面に伝えたことも考えられます。

また、この事案に「総理案件」という印がつけられ、最近、局長以上の人事を官邸に握られ戦々恐々としている財務省等の幹部が、忖度に忖度を重ねたことも考えられる。ただ、夫人付のファックスが明らかになった以上、そこには「忖度」を超えた、安倍夫人、あるいは政務秘書官ら総理秘書官の直接的な指示、命令があったことも推察されます。

④総理夫人担当は、官邸内では「政務秘書官」です。・・・

⑤ちなみに、この同行職員(注)は経産省からの出向ですが、それは「夫人担当」の政務秘書官が経産省出身だからでしょう。そうでなくとも行革で人繰りが厳しい役所が、純増で二人も職員を内閣に出向させたのは、政務秘書官が母屋の経産省にお願いしたと考えるのが自然だからです。ということは昭惠夫人の訪問とその内容も、この政務秘書官に報告されていたのではないか。その出張報告は関係部署も閲覧していたのではないか、との疑念を生みます。

(注)内閣官房によると、現在、夫人担当の職員は全部で5人。そのうち3人は外務省職員で非常勤。この3人の職務は昭惠夫人がファーストレディーとして総理外遊に随行する時の様々な「お世話」担当。どの政権でも、こうした外務省職員は存在。ただし、経産省出向の職員二人(常勤)は安倍政権特有のポスト。夫人の国内担当と思われる。

⑥その夫人付の谷氏。一応、形式上は内閣総務官室在席ということになっていますが、その実質上の上司は、外務省の非常勤の職員は外務省出身の総理大臣秘書官、経産省出身の常勤の2名の職員については、実際の上司は、政務担当総理秘書官あるいは経産省から出向している総理秘書官いうことになります。ここは非常にキーになると思います。

その谷さんですか、2種の国家公務員、大変優秀な方であると聞いていますが、いかに優秀であっても、ああいうファックスのやりとり、財務省本省との連絡調整を彼女の独断でやることは絶対にあり得ません。この点、先にふれたように、内閣総務官であるとか、国会で答弁をしている内閣審議官という方々は、実際上は上司ではないので(総理室内の内実を知らないので)、何を答弁されても私は信用しません。

⑦先の証人喚問。最も重大な証言は、その安倍夫人の秘書から届いたファックスの内容。そこには、すくなくとも当該秘書が、財務省本省等と本件について連絡調整した結果が記載されていました。

こういう国有地の売買をめぐる案件で、経済産業省出向の一職員が、彼女の単独の判断で、意思で、本来、財務省所管の案件で連絡調整することはあり得ません。その権限も力も、彼女自身にはない。安倍夫人を含む官邸内の誰かの指示とみるのが普通でしょう。特に財務省という役所は、自分の専管事項について、官邸の職員といえども他省庁の役人が容喙(「ようかい」横から口出しする)をしてくることについては極力嫌う役所ですから、そこには、昭惠夫人、あるいは政務担当総理秘書官、あるいは経産省出身の総理秘書官(彼らから財務省出向の秘書官に依頼したことも考えられる)の指示に基づいて動いた、だからこそ、ああいうファックスのやりとりもできたと解するのが自然なわけです。

先日の証言をうけて、真相解明には、安倍夫人の証人喚問は必須です。籠池証人が、嘘をついたら偽証罪に問われる場で、ここまで明確に、かつ、具体的な受け渡しシーンも含めて、具体的に「100万円授受」を証言した以上、一方の当事者が「嘘をついてもいい」参考人招致や記者会見で何を発言しても、その信ぴょう性は比較しようがないからです。

また、安倍官邸が「籠池氏が偽証している」というなら、即刻、偽証罪で告発すべきでしょう。

⑧最後に、仮に100万円の寄付があったとすれば、そのお金の出元は一体どこなのかということにも関心があります。また、仮に寄付がなくても、総理夫人同行の職員の旅費等は昭恵夫人が支払ったということを内閣官房は認めているわけですから、昭恵夫人が極めてアクティブに地方出張等々行かれている中、それをポケットマネーで支弁しているとすれば、大変過大な負担を強いているのではないかと思います。

私はもともと、当然、総理夫人は公人だという立場に立つものでありますし、昭恵夫人が総理の代理であるとか分身でそういう活動をされているのであれば、ある意味公的な立場に立つ公人として、そういう出張等々の経費も政府で負担しても、国民感情からいっても許されると思っています。

それを、「私人だ」「私人だ」と言うから、公費からはそういう経費が支弁できない。だったら、安倍夫人が個人的なポケットマネーで出しているのか。そうすると、かなり過大な負担になっている状況というのを官邸はどう考えるのか、それとも、別になんらかの形で官邸が負担しているのか、その事実関係をはっきりさせたうえで、そうした総理夫人の位置づけ、その活動に対する経費負担のあり方等々についてもしっかり正していかなければならない思っています。

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(2017年3月25日「江田けんじNET」より転載)

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