東京新聞
<経済論戦を追う>政策効果か非正規増か
2013年7月19日 朝刊
参院選では、安倍晋三首相の「六十万人の雇用増」という発言をめぐり、与野党が議論を戦わせている。安倍政権が経済政策の成果として掲げるこの数字をひもとくと-。
「政権が代わってから、雇用は六十万人増えた」。安倍首相は街頭演説やテレビ討論などで何度も繰り返す。六十万人とは、総務省の労働力調査で、五月時点の雇用者数が前年同月と比べて増えた人数を指している。安倍首相は、この数を政府の政策効果だと強調しているわけだ。
だが、民主党の海江田万里代表や共産党の志位和夫委員長は「六十万人増えたというが、非正規が増え、正規雇用は減っている」として、増えた中身に問題があると反論する。
安倍政権で雇用情勢はどう変わったのか。労働力調査で政権発足後の今年一月と五月の雇用者数(役員を除く)を比べると、四十五万人増えて五千二百十三万人になった。ただ、内訳をみると、増えているのは非正規(六十八万人増)で、正社員は十三万人減っている。
増加した非正規労働者の雇用形態は、パート・アルバイト(二十六万人増)や契約社員(三十万人増)が大半を占める。非正規雇用の割合は35・3%から36・3%に増加し、過去二十年間で最も高い水準にある。
生活の党の小沢一郎代表は「小泉内閣以来、非正規と正規の身分格差が目立つ社会になった」と指摘。社民党やみどりの風も正社員を増やして雇用の安定を目指す立場だ。
自民党と公明党は職種や勤務地、労働時間が限られる「限定正社員」の導入や、転職支援を進めて、成熟産業から成長産業へ労働者を移動させやすい仕組みを目指す。みんなの党と日本維新の会は解雇ルールの見直しなど、踏み込んだ規制緩和を訴える。 (岸本拓也)
中国新聞 社説 '13/7/18
'13参院選 雇用政策 「非正規」どうするのか
(末尾)
安倍政権は「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すという。
国民一人一人が安心して働ける環境が伴わなくては、日本全体の「再生」とはなるまい。
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