2014年2月19日水曜日

安倍政権の「雇用改革」実現なら賃金42兆円減の衝撃試算 (ゲンダイネット)

ゲンダイネット
安倍政権の「雇用改革」実現なら賃金42兆円減の衝撃試算
2014年2月18日 掲載

 完全に化けの皮がはがれてきたアベノミクス。アベノミクスが成功するかどうかは、労働者の“賃金”が上がるかどうかにかかっている。ところが、安倍政権の「雇用改革」が実現したら、なんと労働者の賃金は約42兆円も減ることが分かった。

「成長戦略」の目玉に雇用改革を掲げているアベノミクス。規制改革会議の大田弘子議長代理も「規制改革は労働市場とセット」と宣言している。

 雇用改革の柱となるのが、「限定正社員制度」や「残業代をゼロにするホワイトカラーエグゼンプション」などだ。要するに、安くて使い勝手のよい労働力を大企業に提供するのが狙いである。

 安倍政権の雇用改革がすべて実現した場合、給料はどうなるのか。「労働総研」が試算した結果には仰天だ。42兆円も減るという。

「90年代後半から日本で進められた〈雇用改革〉は、労働規制を緩和することで、非正規の労働者を急増させた。大企業は低賃金の非正規社員を使い、売り上げが伸びなくても利益を出せるようになった。なにしろ、財務省の〈法人企業統計〉によると人件費は98年度からの累計で131兆円も減少しています。それでも、これまでは正社員には手をつけなかった。ところが、安倍政権は〈限定正社員〉や〈ホワイトカラーエグゼンプション〉など、正社員の雇用に手をつけようとしている。安倍政権の〈正社員改革〉によって人件費がどうなるかを中心に試算すると、42兆円の減少という驚く額でした」(労働総研・藤田宏事務局次長)

■「限定社員」「残業代ゼロ」

「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入により、1人当たりの残業代は平均166万円、総額10.5兆円減少し、正社員の「限定正社員化」によって、賃金は1人当たり55万円、総額14兆円も減るという。

 安倍政権は、正社員を一握りの「エリート正社員」と、多数の「限定正社員」に二極化する方針でいる。規制改革会議雇用ワーキンググループの議論では、20代は「3割が無限定のエリート正社員」だが、少しずつ「限定正社員」の割合を増やし、50代は「1割だけが無限定のエリート正社員」という雇用社会がイメージされている。

 労働総研は「限定社員」の給与を「無限定社員」の給与の85%として試算している。エリート無限定社員も、残業代はゼロになる。

「安倍首相は『日本を世界一企業が活動しやすい国にする』と訴えています。その目玉政策が、雇用改革なのでしょう。しかし、労働者の賃金を下げて企業を優遇しても、内部留保に回るだけです。結果的に個人消費を落ち込ませ、景気を冷やすことになりますよ」(藤田宏氏)

口先では「賃金アップ」を叫んでいる安倍首相。この男は、自分がやっていることの矛盾に気づいていないのではないか。

【1人当たりの賃金減少額】
正社員の「限定正社員化」/年間55万円
ホワイトカラーエグゼンプション/残業代平均166万円

【賃金減少額】
限定正社員化/14兆円
ホワイトカラーエグゼンプション/10.5兆円
無限定正社員のふるい落としによる限定正社員化/1.3兆円
非正規労働者の賃金水準低下/2.9兆円
名ばかり正社員の非正規化/0.9兆円
限定正社員の派遣労働者化/12.3兆円
総額/41.9兆円

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