信濃毎日新聞
改憲集会 身内で盛り上げる気か
04月15日(火)
憲法を改めるには国民的な議論と合意が欠かせない。安倍晋三政権はそれに反し、仲間内の論議を中心に推し進めていくのではないか。そんな懸念を抱かざるを得ない。
自民党は先週末、改憲に向けた対話集会を宇都宮市で初めて開いた。今後2年かけて全国各地で開催する方針だ。
集会には約400人が集まった。けれど、自民党県連などの呼び掛けに応じた党員や地元選出議員の支持者らが中心で、反対意見は出なかったという。
自民党は集会の意味について国民の理解を得るため、と説明していた。これでは広く声を聴いたことにならない。「身内の会合」で理解が深まったなどとし、場合によっては国会議員による改憲発議の口実にされかねない。
国民が今、本当に改憲を望んでいるのか、まずはその把握と分析をしっかり行うべきだ。集会も含め、改憲の地ならしを一方的に進めることは認められない。
党憲法改正推進本部の中谷元本部長代理は、集会で改憲手続きを定めた国民投票法の改正案成立が確実視されていることに触れ、「次の国会から憲法改正が現実的なものになった」と訴えた。
憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認については、「改憲が筋だが、憲法で容認できる部分は容認し、平和と安全を保たないといけない」とも述べた。
中谷氏が語るように、安倍首相が重視するのは戦争放棄を掲げた9条の改定である。「専守防衛」を旨としてきた自衛隊の制約を取っ払い、海外での武力行使に道を開こうとしている。
船田元本部長は集会で「安倍内閣の発足とともに改憲の機運が全国で高まってきた」と強調し、会見では数年内に改憲の国会発議を目指す考えまで示した。
果たして改憲機運は盛り上がっているのか。特定秘密保護法の強行成立などで、国民は首相の強硬姿勢に不安を覚えた。
各種世論調査を見ても、集団的自衛権の行使容認に反対する声は増えており、9条をはじめとする憲法改定そのものに異を唱える人も増える傾向にある。
安全保障に関し、自民党と国民の間で認識のずれが広がっているのではないか。安倍首相は長期政権も視野に、改憲への布石を次々に打ってくるだろう。集会もその一つとみた方がいい。対話と銘打つのなら、党派を超えて改憲の是非や中身を広く深く議論できる場にするべきではないか。
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