東京新聞
政府 ミサイル部品、輸出検討 武器三原則撤廃で初
2014年4月18日 夕刊
小野寺五典防衛相は十八日の記者会見で、武器輸出を原則禁止してきた武器輸出三原則の撤廃を受け、迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC2)を製造する三菱重工業に対して、米企業から基幹部品の輸出要請があったと明らかにした。政府は三菱から正式な輸出申請を受けた後、可否を判断するが、武器輸出を原則容認する防衛装備移転三原則の初めての案件となりそうだ。
PAC2は航空機などを迎撃する地対空のミサイル。三菱重工業が自衛隊向けに製造している。
小野寺氏は「ライセンス元である米国のレイセオン社から部品の一部を輸出してほしいとの打診があることは事実だ。(米政府から)正式に要請があれば、日米の防衛当局間でもしっかり連携して対応したい」と、ミサイル部品の輸出を検討する考えを示した。
要請があったのは、PAC2の先端部分の高性能センサー。ミサイルの位置を把握し、標的へ正確に誘導する重要な役割を担う。
米国に輸出すれば、日本製の部品を組み込んだPAC2が第三国へ再輸出される懸念もある。小野寺氏は再輸出に関して「米国の防衛当局から、周辺事情を聴きながら判断する材料の一つになる」と述べた。
政府は今月の閣議で、武器輸出三原則を四十七年ぶりに全面的に見直し、輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を決定した。
武器輸出の拡大につながる政策転換で、日本でつくられたり、日本の技術を用いた武器弾薬が海外で殺傷や破壊のために使われたり、紛争を助長するとの懸念が出ている。
<武器輸出三原則> 佐藤栄作首相が1967年、(1)共産圏(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争の当事国またはそのおそれのある国-への武器輸出の禁止を国会で表明。76年には、三木武夫首相が三原則の対象地域以外も「『武器』の輸出を慎む」として原則禁止にした。武器を輸出する場合には、個別の事例ごとに、政府が官房長官談話などで例外的に認めてきた。
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