わがことながら日本人は、敗戦から70年という歳月をかけて本当に優しくなった。「イスラム国」という名のならず者集団に空軍パイロットが焼き殺されたヨルダンは、さっそく報復爆撃を始め、指揮官を含む55人以上を殺戮(さつりく)した。
▼ヨルダンでは、「なぜ2人も殺された日本がともに戦わないのか」という声が高まっているという。日本には憲法の制約があって云々(うんぬん)、と説明してもまず理解されぬだろう。
▼憎しみの連鎖を断たねばならぬ、というご高説は一見もっともらしい。後藤健二さん自身も数年前、「憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。-そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」とつぶやいている。
▼だからといって処刑直前も彼はそんな心境だった、とどうしていえようか。助けにいった湯川遥菜さんが斬首されたときの写真を持たされ、家族に脅迫メールを送られ、心ならずも犯人側のメッセージを何度も読まされた後藤さんの心境は想像を絶する。
▼仇(かたき)をとってやらねばならぬ、というのは人間として当たり前の話である。第一、「日本にとっての悪夢の始まりだ」と脅すならず者集団を放っておけば、第二、第三の後藤さんが明日にも出てこよう。
▼日本国憲法には、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼して、わが国の「安全と生存を保持しようと決意した」とある。「イスラム国」のみならず、平和を愛していない諸国民がいかに多いことか。この一点だけでも現行憲法の世界観が、薄っぺらく、自主独立の精神から遠く離れていることがよくわかる。護憲信者のみなさんは、テロリストに「憲法を読んでね」とでも言うのだろうか。命の危険にさらされた日本人を救えないような憲法なんて、もういらない。
狂ってるRT @kuwajimaa: こ、これは…。今日の産経新聞の一面コラムに、背筋が凍る思い。 pic.twitter.com/FBTeMmvMzJ
— MikaJohn (@mikajohn) 2015, 2月 7
「自己責任」を強調する人たちが「邦人を救うために自衛隊を海外へ派遣できるようにすべき」「邦人がやられたのだから仇討ちをすべき」と唱えるこの不条理。
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2015, 2月 7
2ちゃんの書き込みかと思ったら「産経抄」だったでござる→ 《護憲信者のみなさんは、テロリストに「憲法を読んでね」とでも言うのだろうか。命の危険にさらされた日本人を救えないような憲法なんて、もういらない。》http://t.co/5V3gDs6LM3
— 小田嶋隆 (@tako_ashi) 2015, 2月 7
仇をとってやろうというのは人間として当たり前と産経抄の筆者。しかし、あなたの報復感情を満たすために、なぜ自衛隊を派遣せねばならないのか。そもそもあなたは本当に後藤さんの死を悼んでいるのか。悼む気もないのに仇をとるなどと書くのは、後藤さんのの死を自衛隊出動に利用したいだけではないか
— 上丸洋一 (@jomaruyan) 2015, 2月 8
0 件のコメント:
コメントを投稿