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“文系見直し”通知に学術会議が批判声明
7月23日 19時32分
“文系見直し”通知に学術会議が批判声明
国立大学に対し、人文社会科学系の学部の廃止やほかの分野への転換を求めた文部科学省の通知について、日本の科学者の代表などで作る日本学術会議は、「人文社会科学には自然科学との連携によって課題解決に向かう役割が託されている」として、通知を批判する声明を発表しました。
文部科学省は、先月、人文社会科学系や教員養成系の学部や大学院について廃止や社会的要請が高い分野への転換に努めるなど、組織と業務全般を見直すよう通知を出しました。
日本学術会議の会長らは23日に記者会見を開き、この通知を批判する声明を発表しました。この中では、「人文社会科学には自然科学との連携によってわが国と世界が抱える課題の解決に向かうという役割が託されている」として、人文社会科学のみを取り出して組織の廃止やほかの分野への転換を求めることに大きな疑問があるとしています。
そのうえで、「長期的な視野に立って知を継承し多様性を支え、創造性の基盤を養うことも大学に求められている社会的要請だ」として、人文社会科学を軽視することで豊富な人材を送り出すという基本的な役割を失うことになりかねず、大学教育全体を底の浅いものにしかねないと懸念を示しています。
日本学術会議の大西隆会長は「学問は人文社会と自然科学、それに理学工学が連携して発展してきた。人文社会科学のみを見直しの対象とする根拠が示されていないのが問題だ」と話しました。
この声明について、文部科学省は「人文社会科学系を学問として軽んじているわけではないが、人材育成の面などで課題を抱えていると考えており各大学は在り方を検討してほしい」と話しています。
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