日刊ゲンダイ
秋田、四国、高知…金融界に激震走る「銀行消滅危機リスト」
2014年4月14日 掲載
一枚のペーパーに金融関係者が震えている。金融庁が昨年12月にまとめたとされる「金融機関の将来にわたる収益構造の分析について」という文書だ。
「いわば“危ない銀行リスト”です。ただ文書には行名がなかったので、関係者は<ウチはいったいどこに位置するのか>と大慌てでした。金融庁の畑中龍太郎長官の指示で、森信親検査局長が作成したとされることから、“森ペーパー”と呼ばれています」(銀行関係者)
その後、ある証券会社が各行の開示データなどを参考に、行名の入った“新・森ペーパー”を作成。これが金融界に出回り、大騒ぎになっているのだ。
「畑中長官は地銀再編に熱心で、今年3月には地銀トップに対し、中長期の経営戦略を提出するよう求めています。その結果を精査し、再編を促すともっぱらです」(金融ジャーナリストの大山功男氏)
■半数以上が消滅危機
森ペーパーは分布図のスタイルになっていて、縦軸が各都道府県の人口減少率、横軸は収益性だ。右下にいくほど、将来性が危ぶまれることになる。新・森ペーパーを見ると、最も危険な位置にあるのは秋田銀行だった。
「秋田県は15歳から64歳の生産年齢人口の減少率が日本で最悪です。人が減れば金融機関の存在意義も薄れます。秋田銀行の現在の収益率から判断すると、単独での生き残りは厳しいということなのでしょう」(金融関係者)
四国銀行(高知県)や高知銀行、山陰合同銀行(島根県)、島根銀行、鳥取銀行も人口減が激しく、再編の波にのまれる危険性が高い(別表参照)。
「1つの都道府県に複数の地銀は不要です。その意味で、高知県や茨城県、島根県など2行以上ある地域は再編必至といえます」(大山功男氏)
13年3月期のリスク管理債権(延滞債権、貸出条件緩和債権など)を見ても、四国銀行や島根銀行、筑波銀行(茨城県)などは増加傾向だった。地銀(第二地銀含む)は国内に100行以上も存在するが、都道府県の数は47。半数以上が消滅の危機に直面していることになる。
【再編が囁かれる主な銀行】
◆銀行名(本店所在地)/A(%)/B(%)
47都道府県に地銀100行以上/(C)日刊ゲンダイ
◇秋田銀行(秋田県)/28.2/1.10
◇四国銀行(高知県)/23.0/6.80
◇高知銀行(高知県)/23.0/▲3.76
◇山陰合同銀行(島根県)/21.5/5.76
◇島根銀行(島根県)/21.5/8.22
◇鳥取銀行(鳥取県)/20.6/14.03
◇百十四銀行(香川県)/18.2/▲0.86
◇富山銀行(富山県)/17.4/22.08
◇南都銀行(奈良県)/17.3/▲0.34
◇福井銀行(福井県)/17.1/▲20.78
◇常陽銀行(茨城県)/15.9/▲2.61
◇筑波銀行(茨城県)/15.9/▲6.40
◇静岡中央銀行(静岡県)/15.8/38.51
◇清水銀行(静岡県)/15.8/▲0.03
◇十六銀行(岐阜県)/15.2/6.47
A=生産年齢人口の減少率で2010年と25年の比較(国立社会保障・人口問題研究所の資料)、B=リスク管理債権額の増減で12年3月期と13年3月期の比較(東京商工リサーチ調査)
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