2015年3月15日日曜日

鳩山由紀夫元首相は、宇宙人か馬鹿か天才か クリミア半島での「無謀な行動」を分析する (中村繁夫 東洋経済) / 長い目で見ると鳩山さんこそが日本のイメージをよくする人かもしれない。(少なくともバランスをよくしている)。ロシアにしてみれば「日本人にもロシアを理解する人がいる」「米国の傀儡ばかりではない」と思うからだ。 — 宋 文洲

東洋経済オンライン
鳩山由紀夫元首相は、宇宙人か馬鹿か天才か
クリミア半島での「無謀な行動」を分析する
中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長 2015年03月14日

(略)

セバストポリで、由紀夫氏はおおまかにいって、以下の意見を述べている。まず一番目は「クリミア半島が元々はロシア固有の領土であること」、二番目には「クリミアに住む国民が選挙で圧倒的多数でロシアに帰属させるべきだと投票をした事実を評価」、三番目には「ロシアとウクライナは兄弟のような関係だから、他国の干渉を受けず、双方で平和的な解決を模索するべきだ」との意見だ。

現在のウクライナの立場を無視しているように見えるが、由紀夫氏は、民主党代表時代、日露協会の会長だった。だからロシア問題の専門家である。筆者に言わせれば、必ずしも大きく外れたことは言ってはおらず、理路整然とした意見を言っているように見える。

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モスクワにおける、ロシア人の世論といえば次の通りだ。つまり、「ウクライナのポロシェンコ政権とは、米国が無理やりクーデターを起こさせて、裏で操っている傀儡政権である」。これがロシア人の一般的意見なのだ。

物事を掘り下げない、日本の大多数のマスコミ

さて、今回このコラムで、私が一番言いたいことは、由紀夫氏の人物像に迫ることではない。今回の由紀夫氏の一件でもわかるように、ロシア=ウクライナ問題のような重要案件については、マスコミたるもの「きちんと掘り下げて、表面的ではなくフェアな立場で事実を報道すべきだ」ということだ。

そもそも、ウクライナ問題を語れる評論家は少ない。現場の一次情報はほとんど日本に入ってきていない。主に「欧米のフィルター」がかかったニュースが、お茶の間に報道されているのである。

それゆえ、あたかも欧米のニュースが国際世論であるかのように見える。だが注意深く観察すると、実際には米国の息のかかった、偏った一方的意見であるとの見方もある。

なぜなら、NATO加盟国以外の世論は、といえば、実は中立の立場でウクライナ問題を扱っているからだ。米国の「内政干渉」によるウクライナの混乱に対して、NATO加盟国以外の世界の世論は、中立の立場である。

中立の立場とは「米国の意見も聞くし、ロシアの意見も聞く」という、子供でもわかる理屈である。一見狂ったように見える由紀夫氏の考え方は「ロシアの意見も聞く」という当たり前の意見を言っているにすぎない。私に言わせれば、由紀夫氏のホンネはわからないが、「ロシアの固有の領土であるクリミアは、日本固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉、と同じ位置づけである」との理屈が成り立つのである。

由紀夫氏の祖父である・鳩山一郎元首相は、日ソ友好条約に腐心した人物だった。由紀夫氏の父の鳩山威一郎氏も、日露関係の改善に努力した外務大臣であった。由紀夫氏本人も日本国首相として、日露友好協会会長として北方領土問題の解決に努力してきたことも事実である。

(略)

「クリミアはロシア固有の領土であり、北方領土は日本固有の領土である」。由紀夫氏がクリミアに対して表明した正論は、実は北方領土問題にそのままあてはまるロジックであることを、日本国民の大半は気づいていない。

おそらく、冒頭の由紀夫氏の発言を踏まえ、彼が本当に言いたいことは次の3点だ。まず「北方領土が元々は日本固有の領土であること」、二番目は「元来北方領土に住む国民が選挙をしていたなら、圧倒的多数で日本に帰属させるべきだと投票していたはずだ」、三番目は「北方領土におけるロシア人と日本人は兄弟のような関係だから、他国の干渉を受けず、双方で平和的な解決を模索するべきだ」との意見である。

本当に孤立した時に助けてくれる人を尊重するのがロシア人気質であることを熟知しているのが、鳩山由紀夫氏である。

(おわり)






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