十二月のうた 茨木のり子
熊はもう眠りました
栗鼠もうつらうつら
土も樹木も
大きな休息に入りました
ふっと
思い出したように
声のない 子守唄
それは粉雪 ぼたん雪
師も走る
などと言って
人間だけが息つくひまなく
動きまわり
忙しさとひきかえに
大切なものを
ぽとぽとと 落してゆきます
花神ブックスⅠ『茨木のり子』(花神社 1985年5月)
(詩人59歳)
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